アリシゼーション編
第一章?七武侠会議編
古都漫遊
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に面する小さめのゲームセンターだった。この辺りの地区は京都の中心地区でも景観保護条例の範囲外となっている場所で、ゲームセンターの他に少し派手派手しい店が建ち並んでいる。
京都に来てまでゲームセンター、という人は居ることには居るが、大方を占めているのはやはり地元の若者達だろう。
「ねえ螢。あれ、やろ!」
「はいはい」
木綿季が指したのは『太鼓の○人』。若者達に人気のリズムゲームの中でも古くから愛され続けている筐体だ。
螢さんが財布から硬貨を取り出し、その筐体へ入れる。プレイ人数を確定し、選曲画面になるとあれこれ言いながら2人で選んでいる。
(はぁ……)
いやまあ、そもそも2人のデートにお邪魔したのはこっちなのだ。さっきから全く顧みられないとしても文句が言える立場ではない。
それでも、いや、それだからこそ…………
……いや、これはただの身勝手だ。実に勝手な事だ。相手は絶対に自分に振り向いてくれないと分かっている。
もっとこうすれば良かったとかそういう話ではなく、最初から、スタート地点から敗北が決定している事なのだ。競争にすらなっていない。
(何でだろ……分かってたのに)
初めて恋をした人が既に恋人持ちの人。しかも俗に言う一目惚れ。なんという少女漫画的展開だろうか。
自分が主人公なら大抵の場合、最後はハッピーエンドになるものだが、現実はそう上手く行かない。
皇は古く、格式のある家。京都にとどまらず全国のそう言った『普通の』家々との交流も盛んにある。
そう言った家々が集まり、縁を結ぶ場を幼い頃からよく見て来た。故に、彼女は常人より縁の良し悪し、結んだ者達の互いの気持ちを読む事が得意だ。
友紀奈から見て2人は不思議な存在だった。
相性の良いとか、そうゆうのでは無く、例えるなら『合わせて一つ』という関係に見えた。
互いに惹き合っているのでは無く、それが自然な形で違和感が無い。
そんなものを崩す、ましてや横入りする術は友紀奈には無かった。
「友紀奈?」
「っ??は、はい!」
ぼうっとそんな事を考えていたからなのか、目の前に突如現れた(ように見えた)螢に過剰に驚いてしまう。
「……済まんな、放っておいて。次は友紀奈の番、どこが良い?」
「え?どこが、とは?」
「友紀奈はどれで遊びたい?」
そう言って螢さんは辺りの様々な筐体を示す。
「え、でも……木綿季は……?」
「あー……いや、何かアレをいたく気に入った様でな……」
そう言って何故か疲れたように螢さんが指した木綿季は、先程の筐体で楽しそうに遊んでいた。というか画面を流れる音符がほぼ視認出来ない。そして嬉々として太鼓を叩いている木綿季の手が残像を残している。何これ。
「……でだ、何か遊んでみたいものはあ
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