暁 〜小説投稿サイト〜
転生とらぶる
マクロスF
0723話
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標本を持って帰るにしても、まずこれをどうにか取り外さないといけないよな」

 標本の入っている培養ポッドは周囲と一体化しているように設置されている。いやまぁ、変形するマクロスの中で迂闊に取り外しが出来るようにしたら貴重なバジュラの標本が破壊されるかもしれないと思えば、こうするのが正しいのは事実だ。
 その代わり、取り外しが出来ないんだけどな。
 もっとも、こういう時にはこうすればいい。

「スライム」

 シェリルに聞こえないような声で呟き、スライムを出す。そして、空間を素早く銀線が走り、培養ポッドの周辺を切り刻む。そのまますぐにスライムを戻し、バジュラの培養ポッドに影響が無いかどうかを確認して空間倉庫の中へと収納する。

「よし、取り合えず入手は完了っと」

 まぁ、良く考えたらフロンティア船団はバジュラの巣を確保しているんだから、幼生体と思われるバジュラのサンプルは普通にありそうだけどな。……この手の類は多くありすぎて困るということもないだろうから、構わないか。
 後は……ここがランカの関係者の研究室だとしたら、ランカの為にも何か形見の類を持って行ってやりたいところだ。
 そう思って周囲を見回しても、特にこれといった物は無い。シェリルが砕いてしまったフォトフレームがあれば持っていったんだけどな。そう思った時、シェリルのいる方から声が聞こえて来る。押し殺したような、それでいて切羽詰まったような声。

「ちょ、ちょっとアクセル、まだなの? 何かこの穴の下から変な音が聞こえてくるんだけど!」

 その声を聞き、これ以上ここを探っている時間が無いと判断する。
 まぁ、最悪帰りにまた寄ればいいんだし……何よりも優先するべきはランカに形見を届ける事じゃなく、バジュラの情報を得る事だしな。
 そして先程の場所へと戻ると、そこでは銃を手にしたまま気味悪そうに穴の中を覗いているシェリルの姿が。

「アクセル、遅いわよ」

 穴の中から聞こえて来る音を刺激しないようにだろう、微妙に小声でそう文句付けてくる。

「悪いな、一応この穴を調べた後でまたここに来れるとも限らないから、粗方調べてきたんだよ」
「……で、何かあったの?」
「いや、特には何も無かった。けど、何も無かったってのが分かっただけでもある意味では収穫だろ」

 そもそも、バジュラについてのデータは消した癖にバジュラの標本は残したまま。これってどういう事なんだろうな? まるで、直接ここに来てデータを消去したんじゃなくて、遠距離からコンピュータにアクセスしてデータを消去したような。
 ……そうなると、俺の思い込みもあるのかもしれないけど、ますますインプラントをしているグレイスが怪しくなるような気がする。

「ま、確かにそうね。ここにはこれ以上の情報は無
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