原作開始前
救われた少女たち
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『通りすがりの仮面ライダーだ! 覚えておけ!』
何度も繰り返して見たディケイドをまた見る。あの日、私たちを助けてくれた仮面ライダーディケイド。まさか本当に始まるとは思ってもいなかった。でもディケイドに変身するのは門矢士で、当然あの日助けてくれたあの人じゃない。助けてくれたのは五歳のとき。あの時やっていたのはファイズで、ディケイドはその五年後の作品だから、ディケイドが世に知られることはありえない。そもそも仮面ライダーは特撮の世界の住人であって、この世界にはいないのだ。……ヒーローショーは除くが。
「かーんちゃーん」
「……本音、どうしたの?」
「てひひ、かんちゃんが何してるのかなーってー。あ、また見てるんだー。でもー、あの人じゃないんだよねー」
「……うん」
「うーん、結局何者だったんだろうねーあの人」
分からない。でも、ディケイドを見ていて分かったこともある。あの時彼がセンチピードオルフェノクとの戦いでファイズのアクセルフォームになったときに
「10秒間だけ、俺に付き合ってくれよ?」
と、言っていた。カブトの世界で、仮面ライダーザビーのクロックアップに対抗するためにファイズのアクセルフォームにフォームライドするときに門矢士がこう言う。
「付き合ってやる。10秒間だけな」
セリフが偶然似ているじゃ説明がつかない。あまりに出来すぎている。多分彼は、このセリフを知っていたのだろう。それを自分の立場に置き換えて言った。これが一番自然だと思う。でも、それだと最大の疑問が残る。何故、発表もされていないディケイドのセリフを知っているのか。しかも何度も見ていないと状況に会わせてセリフをアレンジなんて出来ない。
「あの人は一体何者なんだろう……」
簪の呟きは誰の耳にも留まらず消えていった。
「かんちゃん、ケーキ食べる〜?」
「……食べる」
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「あの人は一体何者なんだろう……」
思わずそんな言葉が漏れてしまった。私はパソコンを使ってあの時の仮面ライダーディケイドについて調べていた。だけど、出てくるのは特撮でやっていたある意味本物の仮面ライダーディケイドのことばかりで、彼についての情報は何一つとして無かった。
「手がかりの一つも見つからないなんてね……」
「お嬢様、どうですか?」
虚ちゃんが声をかけてきた。私は体をほぐしながら答える。
「全然ダメ。何も掴めないわね」
「そうですか……」
「一体どうなってるのかしらね?」
「そうですね、更識の情報網にも引っ掛からないなんて……」
私たち更識は対暗部用暗部だ。情報ならば下手をすれば国家機密レベルのものま
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