原作開始前
喪った者と手に入れたモノ
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な……」
「油断大敵……だぜ?」
「ああ……まったくその通りだな!」
「彼方!」
後ろから楓の魔法が飛んでくる。骨自体は治せないが、痛みは止まった。とりあえずまだ戦える!
「さあ、ユーナ・ソードフォレスト。第2ラウンドと行こうか!」
「いいねえ! そういうの大好きだ!」
さっき迄の剣撃とは次元が違う速さで剣を交える。それに加えて拳や蹴りの応酬も始まる。戦いは怪我を負っている俺の劣勢のように思われたが、実際はユーナの方が防戦気味だった。勿論、楓のサポートがその理由だ。
俺が蹴りを出せば相殺される。ユーナが掌打をくり出せばかわしてカウンターをする。それもかわされる。何発かお互い貰ってはいるが、決定的なダメージにはなり得ていない。それに俺のダメージは後ろから楓が回復してくれているためにほぼノーダメージだ。ユーナにのみ実質ダメージが通っていることになる。小さなものではあるがそれは確実にユーナに疲労をもたらしている。
「流石にキツイな……。そっちには後方支援の回復で実質ダメージ0。アタシにだけダメージがたまってく訳だ……。長期戦になったら負けるな」
「こっちも長期戦は遠慮したいな」
「なら?」
「全力で……」
「「叩き潰す!」」
ユーナが詠唱に入る。その詠唱が進んでいくにつれてユーナの手に握られた剣が焔を纏っていく。
「おいおい、なんだよソレ見たこともねぇぞ」
「そりゃそうだろ。王国の奴等にはこれは使えねぇからな」
「成る程ね。流石にそれを喰らった痛いかな」
「痛いね確実に。だから大人しく喰らっとけ!」
「お断りだ!」
それを皮切りにユーナが突っ込んでくる。焔を纏ったユーナの剣は斬り結ぶだけでも凄まじい熱量だ。しかし、それを操るユーナは涼しい顔をしている。おそらく術者には害を為さないのだろう。
さてこれをどうやって攻略すればいいのだろう。生半可な水属性の魔法では太刀打ちどころか即座に蒸発してしまうだろう。後に残されたのは……
(カウンターしかないか……)
ただ、これは賭けだ。下手をすれば失敗して死ぬのは俺だろう。
「死ぬのはいやだなぁ」
「はぁ? 何言ってやがる。当たり前だろ、そんなの!」
独り言にユーナが答えた。そうだよな。でもどっちも死なないという結末はありえない。……もう終わらせないと。
ユーナが袈裟に斬りかかってくる。俺はそれを撫でるように受け流す。
「なんだと!?」
「四神流 斬術青龍の型弐番! 龍身! これで終わりだぁ!」
俺はそのままユーナに斬りかかる。しかし、俺はユーナの身体を斬る直前で止まってしまった。躊躇した。自分と同じ人の命を奪うことに。これまで斬ってきたモンスターたちも同じ命なのに。俺は怖くなった。
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