悪魔の島編
EP.18 ウルティアの誘い
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であるミラジェーンのものと比べて、匂いまで誤魔化せるほど精密ではない事は把握済み。
ならば、ナツに香水の匂いはザルティの物だと、誤解を解いてもらえばいい。
これならウルティアの正体に触れず、誤解も解けて一石二鳥。
そう考え、一縷の希望を託し、ナツに声を掛けようとしたのだが……
「エルザ怖ええええええ!」
「今までで一番怖いよー!」
「ば、馬鹿、ひ、引っ付くなクソ炎!」
「(駄目だ、ナツは役に立たん……!)」
「何故目を逸らす? 心当たりがあるのか? ん?」
当のナツ、ついでにハッピーは震えながらグレイにしがみついている。
グレイはそんなナツを鬱陶しがっているものの、ナツと同じことを思っているのは、滝のように流れる冷や汗を見れば明白だ。
儚い希望だったことを悟るワタル。
目が笑っていない……いや、段々目が据わってきたエルザ。
今までで一番の恐怖を感じているのではないかと思う程に震えるナツ、グレイ、ハッピー。
ある種のカオスとなってきたこの場の雰囲気を崩したのは、以外にもルーシィだった。
「なんか……浮気の問答をする夫婦みたい」
「「まだ夫婦じゃない!!」」
「……まだ?」
ルーシィの呟きは、他意の無い単なる感想だったのだが、ワタルとエルザはこれに過剰反応。
エルザがワタルに懸想しているのはとっくに知っていたルーシィだが、ワタルまで反応するとは……と、意外に思いながらも、面白いものを見たと、ニヤリと笑う。
「へー、何がまだなのかな〜?」
「あ、いや、これはだな……」
「あの、その……そうだ、まだ恋人でもないのに夫婦は無いだろう夫婦は!!」
「そうだなエルザ、その通りだ!」
「だから、何が『まだ』なのかな~?」
「「う、うるさい!!」」
狼狽を隠せず、顔を赤くして怒鳴る2人。
17歳、縁が少ないとはいえ、恋愛事に興味津々のルーシィは愉快そうに笑う。
ちなみに、当の2人は自分の事で精一杯で、相手が同じ反応をしている事に気付いていない。
「なんか……ルーシィってすごいな……」
「エルザとワタル同時に相手してるもんな……」
「あい……」
「あの……依頼……」
ナツ、グレイ、ハッピー、ついでに村人たちは完全に蚊帳の外だった。
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