暁 〜小説投稿サイト〜
FAIRY TAIL 星と影と……(凍結)
悪魔の島編
EP.18 ウルティアの誘い
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は驚愕したが、思考を止めてはいなかった。
 地面を急激に盛り上がらせたため、周りには大小様々の岩がワタルと同じように吹き飛ばされている。
 ワタルは経験と勘でルートを算出し、宙に浮いている岩を足場に、ウルティアに飛びかかった。

「なに!?」
「――――!!」

 自分の策を破ったワタルのタフネスに驚愕したウルティアは、拳を振りかぶり、雄叫びを上げる彼に硬直する。
 断層で打ち上げられて“魂威”は不発、新しく魔力を収束させる暇も無かったワタルの拳はウルティアの頬――奇しくもナツが殴った箇所に突き刺さり、彼女を吹き飛ばした。

「グゥッ!!」
「まだ――!」

 戦闘不能にできるだけの一撃ではない事が分かっていたワタルは着地で崩れた姿勢をすぐに整え、追撃に走る。
 今度は十八番、“魂威”でとどめを刺さんとしたが……

「“時のアーク”!!」
「な――くぁ!」

 突然の突風が吹き荒れ、巻き起こされた砂塵に思わず顔を腕で覆い防御姿勢を取るワタル。
 いったい何が。そんな思考も後回しにしてすぐに視界を回復させたワタルだったが、ウルティアの姿は既にどこにもなく、ジャミングによって範囲を大幅に狭められた感知では彼女の位置を特定することはできなかった。

「――逃げられたか。何が『汎用性が高すぎる』だ。自分だって似たようなものじゃねーか」

 完全に彼女を見失った事を悟ったワタルは、既に先程起こった事を理解していた。
 大気の流れの未来を操り、局地的な竜巻を起こしたのだ。

 修復に、樹木、地面、大気と言った自然の力すら味方にする“時のアーク”。
 ワタルは“魂威”という、攻守両方に優れた武器を持っている事を棚に上げ、地面に転がる石くれを蹴飛ばして悪態をつく。
 結局彼女が何者なのか分からなかった――すでにウルティアが唯の評議員である可能性は捨てていた――彼は脱力感から溜息をつくと、仲間たちと合流しようと歩き始めた。


「ったくもー、なにも同じところ殴らなくたって……痛たた――うわ、腫れてるし」

 即興の目眩ましが上手くいき、何とかワタルの感知範囲の外まで逃げる事が出来たウルティアは痛みに涙すらにじませ、頬をさすりながら赤く腫れた頬を氷で冷やしているのだった。


    =  =  =


 一方、エルザ達はリオンと別れた後、村が大損害を被ったため村人が避難所としていた資材置き場に到着していた。

 『エルザを探す』……そうナツに言って姿を消したワタルだったが、実際に彼女を見つけたのはナツの方だった。
 まあ、見つけたというより見つかったと言った方が正確なのだが、この際それはいい。
 とにかく、ナツからワタルが自分と合流しようとしていると聞いた彼女は、感知に長けたワタルが自分を
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