悪魔の島編
EP.18 ウルティアの誘い
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する。
「せっかちな男は嫌われるわよ」
並の実力の持ち主であれば、反応できずに昏倒していたであろう一撃。
だが、並でない実力者であるはずのウルティアは防御の姿勢すらとらない。
ワタルが不審に思うと、すぐ足もとに魔力の膨張を感知。
急ブレーキをかけてその場を飛びのくと、急激に成長した樹木が地面を割って現れた。
先読みに長けたワタルに不意打ちはあまり意味をなさない。
だが、ウルティアの技のキレは鋭く、完全に躱しきる事ができずなかったワタルの額から一筋の赤い筋が流れた。
「あっぶな……」
「そこには苗木があったのよ。“時のアークが”成長させた……まだ、終わらないわよ!」
「チィ!」
ウルティアが指揮するように腕を振ると、未だ成長を続けていた樹木から尖った枝が分岐し、ワタルを襲う。
串刺しにしかねない勢いの木の枝に舌打ちをすると、目に入ろうとした血を左手で拭い、迫りくる枝に横から忍者刀を刺す。その反動を利用して枝を躱し、忍者刀を抜きながら足場にする。
「まだまだ!」
「ち、っと、くぅ……!」
足場にした枝から、さらに枝が幾つにも分かれながらワタルを襲う。
身体捌きで躱そうとしたワタルだったが、数えるのも鬱屈なほどの数に分かれた枝を見てこれはマズイと、木の裏に移動した。
「ちょこまかと……捉えた!」
「しま――!」
だがウルティアも然るもの。自らの経験に基づく勘で視界外のワタルを無数の枝と葉で覆い捕らえんとする。
ワタルは反応が一瞬だけ遅れ、枝に絡め取られてれしまい、5秒と掛からずに全身を枝と葉で覆い尽くされてしまう。
そこで木の成長限界が来たのか枝の動きが止まり、ワタルを絞め殺すには至らなかった。
物体の『時』を操る“時のアーク”は樹木そのものを操る訳では無いのだ。
「私の“時のアーク”は未来を選び取る。ほんの小さな苗木の取り得る無数の未来の内からね……それから――」
自身の魔法についての講釈をすると、ウルティアは振り向き様に水晶を突進させた。
その標的は、彼女の後ろから“魂威”で攻撃しようとしたワタル。
捕らわれたのは、樹木の裏に回った瞬間に作り出した囮……変わり身のワタルだったのだ。
「私に同じ手は通用しない!」
「どうかな?」
「な……水晶が!?」
奇襲を見破られる事を予想していたワタルは難なく水晶をキャッチ、“魂威”で破壊した。
ウルティアはすぐに時を戻そうとしたが……水晶が修復しない事に驚愕する。
「失われた魔法なんて仰々しい名前がついてても魔法は魔法。魔力を通しやすい水晶を使ってるなら対処は容易い」
魔法とは、いうなればガラス細工のようにデリケートな物だ。
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