17:male
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馴染んだものだ。
「……ああ、そういやすっかり忘れていたんだがよ」
デイドが何かを思い出したかのように、ふと顔を上げ、手を俺へと差し出した。何かを求めるように指先をクイクイさせている。
「ユニコーンの情報、オレ達にも教えろよ。他の奴らに見せてたろ? ちょうど今のうちに読んでおきてぇ」
「ああ……そうだったな。俺も忘れてたよ」
犯人捜索と呼ぶには些か騒がしすぎた一連もあって、彼らへの調査協力の報酬である情報提供の事は、すっかり脳の端へと追いやられていた。すぐに羊皮紙をオブジェクト化して、彼らへと引き渡す。
それからは男三人で、ユニコーンを発見した際の注意事項や作戦などの意見交換をしながら時間を潰すことしばらくして。
マーブルの宿の方向から、女性陣の集団と、相変わらず半ば宙を浮きながら引きずられているユミルが走ってくる姿が見えた。
「――間ぁに合ったよー!」
「――ぁぁぁぁぁあああっ」
遠方からのゴキゲンなアスナの声と、泡を喰った風なユミルの悲鳴が徐々に大きくなり、そして俺達の元で駆け足と共に停止する。
「……遅ぇ」
そんなデイドの苛立ちを帯びた呟きの第一声に、アスナは眉を吊り上げて頬を膨らます。
「なによ、ちゃんと二時前でしょう? ……一分前だけど」
「アスナ、デイド達は十分以上前から待ってたんだぜ? そう言わずに少しは謝ってやれ。そこの変態紳士さんだってな……って、ん?」
「――――――。」
俺がふとハーラインを見てみれば、彼は爽やかに笑って許しながら彼女達を迎え入れるのかと思っていたのだが。
「……どうした、ハーライン?」
彼は目を点にして、ポカンと一箇所を見つめて静止していた。
もしかしてラグっているのだろうか。
「…………キリト君」
「なんだよ」
「――そこの、新たな金髪美少女は誰だいっ!?」
「ん? あぁー……」
まだ目を少し白黒させながら振り回されたショックから抜け出せないでいるユミルを、ハーラインは鼻息荒く指差して言った。
そういえば、このリアクションも考えれば当然の事だった。今のユミルはフードを被っていないのだ。そして、四十分前には服屋から購入してそのままだった衣服も、今では細やかなカスタマイズが施された戦闘服に完成されており、さらにその上にはしっかりとライトアーマーも装着されている。
「……ア、アスナッ! ボク、ちゃんとスカートだけはやめてって言ったよね!?」
「えー? たしかにわたし達は絶対スカートが似合うってずっと言って聞かせてたけど……そこはユミルちゃん、頑なに拒否するから仕方なくちゃんとズボンに仕立ててるよー? ホラ、下はどう見てもショートパンツでしょう?」
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