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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
最終話 和平条約締結  
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な。



宇宙歴 797年 6月 13日  イゼルローン国際協力都市  ミハマ・サアヤ



ヴァレンシュタイン委員長が穏やかな笑みを浮かべています。時折苦笑を浮かべる時も有ります、でも何処か楽しそう。御両親の名誉回復もされましたし委員長自身の名誉も回復されました。嬉しいのだろうなと思います。
「帝国に戻られるのですか?」
「……」

委員長が驚いています。アレ、私拙い事言った?
「名誉も回復されたのですから戻っても問題は無いと思うのですけど」
あ、今度は委員長が笑っている。でもちょっと寂しそう。
「名誉は回復されました。でも私が殺した人間は生き返りません。その事は誰よりもその遺族が分かっているでしょう。とても帰れませんよ、そんな事をすれば遺族達を怒らせるだけです。帝国政府も私が戻って来る事は望んでいないと思います」

「御寂しいですか?」
「……」
「御寂しいですよね、馬鹿な事を訊いて済みません。……でも私は嬉しいです。委員長がずっと同盟に居てくれるんですから」
「……ミハマ大佐」
「同盟にも委員長の事を本当に想っている人が居ます。私もその一人です、同盟はそれほど悪い国では有りませんよ」

委員長が困ったような、ちょっとはにかんだような笑みを浮かべました。懐かしい笑みです、昔は良くこの笑みを見せてくれました。和平が結ばれて昔のヴァレンシュタイン中尉が戻ってきた、そう思いました。嬉しいです、本当に嬉しい。目頭が熱くなりました。

「和平は結ばれましたがまだまだ問題は多い。これからは和平を守るために戦わなければ」
「期待していますわ、ヴァレンシュタイン最高評議会諮問委員長閣下」
委員長が肩を竦めました。

「かくて宇宙には平和が戻り伝説が終り歴史が始まる」
「?」
委員長がクスクスと笑っています。よく分からないけど委員長は楽しそうです。だから私も楽しい。

「ハイネセンに戻りましょうか」
「はい!」
かくて宇宙には平和が戻り伝説が終り歴史が始まる。その通りです、今日から人類の歴史が新しく始まります。同盟、帝国、フェザーンに住む人類全てが歴史を作るのです。その歴史が輝かしいもので有る事を私は確信しています。人類に幸多からん事を……。



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