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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
最終話 和平条約締結
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が救国軍事会議を率いたグリーンヒル外交委員長だ。そして帝国では門閥貴族代表のブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯が国内の改革を行っている。俺の知っている銀河英雄伝説は何処に行ったのやら……。
「珍しいですね、委員長がそんなにニコニコするなんて。念願の和平が実現した、だからですか?」
俺よりサアヤの方が嬉しそうだけどな。
「私よりも大佐の方が嬉しそうですよ」
「嬉しいです。戦争が無くなります。委員長も戦場に出なくて済む。そうでしょう?」
ちょっと返答に困った。サアヤは生真面目な表情をしている。ラインハルトと戦わずに済む、戦死する事に怯えずに済む、そう言っている様だ。そうだな、確かにそれは有る。それが理由でトリューニヒト達と和平を模索したのは事実だ。人類のためなんていう崇高さは全くなかった。俺ってつくづく小市民だよな。
「何が可笑しんですか、委員長?」
「ミハマ大佐、私は帝国による宇宙の統一を望んでいました。ミューゼル大将を助け国内を改革し宇宙を統一する。不可能ではなかったと思います、でも大神オーディンは私を嫌った。私は同盟に亡命せざるを得なかった」
サアヤがちょっと困ったような表情をしている。同盟人としては嫌々亡命したと言われるのは面白く無いか……。
「同盟の国力では統一は難しかった。少なくとも私には考えつかなかった。私に考え付いたのは和平を結び三国鼎立による共存でした」
統一の方が安定するのか、共存の方が安定するのか……。統一の場合軍事力は削減出来るし国内の緊張は少ないだろう。しかし統治者の能力次第で分裂、反乱が起こる。外に敵は居ないが内には潜在的な敵がいるわけだ。そこを統治者が何処まで理解出来るかだな。
共存の場合は如何だろう、常に相手が敵になる可能性がある。軍事力は必要だし国家間の緊張も或る程度存在し続ける。三国鼎立とは言ってもフェザーンの力は弱い、三竦みにはならない。同盟と帝国が正面から睨みあう形だ。まあ片手で握手、片手で握り拳だ。握り拳の存在を忘れなければ平和は続くだろう。
「統一の方が人類にとっては良かったのでしょうか?」
サアヤがちょっと納得がいかない、そんな表情をしている。
「さあ如何でしょう。多種多様な価値観が存在出来るという意味では共存も悪くないと思いますよ」
俺の返事にサアヤが頷いた。原作のローエングラム王朝は如何だったのかな。多種多様な価値観を認められたのだろうか。
ヒルダ以降の統治者が弱い統治者なら権威を造りだしそれに縋ろうとしたかもしれない。その時彼らが作り出す権威はラインハルトだろうな。ラインハルトの言動、思想を絶対視したはずだ。結構息苦しい世の中になったかもしれない。それを考えれば共存も悪くないか。俺のやった事はそれほど拙くは無かったのかもしれない……。気休めにはなる
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