第二十話 錬金術その六
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「ここは」
「そうだよな、相手が誰かで」
「そのことを調べていくから、僕は」
「頼むぜ、若しな」
「若し?」
「先輩がしんどかったらな」
その時はとだ、薊は腕を組んで白い歯を見せて笑って言った。
「あたし達がいるからさ」
「ですからいざという時は」
「お任せ下さい」
笑ってだ、他の娘達も言ってきた。
「及ばずながらですけれど」
「お手伝いさせてもらいます」
「まあ君達はね」
智和は少女達の申し出を受けてだ、微笑んでこう返した。
「迫って来る怪人達に専念してくれるから」
「じゃあ先輩だけで」
「そのことは」
「僕も何かをしないとね」
「駄目だからですか」
「そう思われているから」
「そう、君達にばかり苦労をかけさせたらね」
そうしたことは、というのだ。
「リーダーとして不甲斐ないからね」
「だからですか」
「そのことは先輩が」
「そう、やらせてもらうよ」
こう言うのだった。
「このことは職務分担でいこうよ」
「戦いは私達がして」
「相手を見付けることは先輩が」
少女達は智和が言う職務分担とは何かをいうことを理解してそのうえでそれぞれ言った、彼の顔を見ながら。
「そうして、ですか」
「進めていくべきですか」
「そうしよう、それにね」
「それに?」
「それにっていいますと」
「彼女達もいるしね」
今この場にはいない二人のことだった。
「開陽姉妹がね」
「あの娘達もですね」
桜が応えた。
「二人で」
「動いてくれるだろうし、そしてね」
「怪人と戦ってくれるから」
「そう、彼女達からも何かわかるかも知れないしね」
「見付ける目は多いのですね」
「耳もね」
見るだけではなく、というのだ。
「あるからね、そうしていこう」
「わかりました、ではその様に」
桜は智和の言葉にここでも頷いた、そうした話をしてだった。
智和が怪人達を操る相手を調べることにした、少女達は戦いだ。
そうした職務分担が決まった、とりあえずは。
薊達はそのことを決めたが暫くは何もなかった、それは日曜もだった。
日曜の朝寮でだ、裕香は薊に食堂で朝食を食べながら尋ねてきた。
「ねえ、今日ね」
「今日?」
「うん、薊ちゃん何か予定ある?」
「午前中拳法部の部活があるよ」
「私も午前はね」
ソフトボール部の部活があるとだ、裕香は朝食の御飯をおかずの目玉焼きで食べながら答えた。他には漬けものと味噌汁もある。
「部活よ」
「けれど午後はな」
「フリーなのね」
「裕香ちゃんはどうなんだよ」
「ええ、私も午後はね」
その時はとだ、裕香は薊に答えた。
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