第二十話 錬金術その一
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美しき異形達
第二十話 錬金術
薊達は自分達の敵を探しはじめた、しかし。
手掛かりがある筈もなかった、それにだった。
裕香は授業も部活も夕食も終えて寮の風呂に薊と一緒に入っている時にだ、共に湯舟に浸かりながら彼女に言った。
「怪人っていつも急に出て来るわよね」
「神出鬼没だよな」
「しかもこの一週間ね」
「その怪人も出て来ないからな」
「怪人を手掛かりにしようにも」
そうしたいがそれでもだった。
「相手が出て来ないから」
「どうしようもないよな、今は」
「薊ちゃん今どう思ってるの?」
「かなりもどかしいよ」
薊は自分の本音をはっきりと言った。
「敵がいるならな」
「すぐに出て来て」
「全部倒してな」
そして、というのだ。
「さっさと終わらせたいよ」
「薊ちゃんらしい言葉ね」
「あたしらしいか」
「うん、薊ちゃんせっかちだし」
「あたし確かにせっかちだな」
自分でも言う、それも笑顔で。
「だからな、今の状況がさ」
「もどかしいのね」
「出て来るなら出て来いってな」
「それで手掛かりにするのね」
「倒してな、いや」
倒すと言ってからだ、すぐにだった。
薊は考えを変えた、そのうえで裕香に言った。
「それよりも連中が何処から出て来るかとかな」
「何処に戻るかとか」
「そういうことを知りたいよな」
「そうよね、何もなく急に出て来るって訳じゃないから」
「絶対にどっかからあたし達のところに来てるからな」
怪人達にしてもというのだ。
「それでなんだよ」
「怪人が出て来たら」
「ああ、その時にな」
「あえて倒さないで」
「敵を逃がさせてな」
そうしてだというのだ。
「追っていけばな」
「敵の基地がわかって」
「それに敵がどういう奴もわかるからな」
「一石二鳥ね」
「それがいいよな」
こう裕香に言うのだった。
「今度はな」
「そうね、じゃあね」
「次に怪人が出て来たらだよ」
怪人をあえて倒さないというのだ、これが薊の考えだった。
そのことを話してだ、そのうえでだった。
薊は裕香にだ、このことも話した。そのことはというと。
「それで錬金術な」
「それね」
「あたしもちょっと調べてみたけれどな」
「それで何かわかったの?」
「ああ、科学に似てるよな」
本を読んだのだ、錬金術についての。
「魔術にも似てて」
「科学と魔術ね」
「先輩言ってた通りな」
「科学も錬金術も魔術もはじまりは一緒だったのね」
「そのことは間違いないな」
そうだというのだ。
「どうやらな」
「そうなのね」
「それとな」
「それと?」
「賢者の石を完成させられた
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