第六幕その一
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第六幕 温泉でのお話
先生達は道後温泉に来ました、するとです。
来たところで、です。もう長老さんが待っていました。お昼にお会いした時の着物姿で飄々として立っています。
その長老さんがです、先生達に言ってきました。
「それではのう」
「はい、今からですね」
「温泉に入ってな」
そしてその中でだというのです。
「話をしようか」
「それでは」
「皆集めたぞ」
長老さんはにこにことして先生にこのこともお話しました。
「愛媛の化けられる狸はな」
「全員ですか」
「うむ、わしの下におる者達をな」
全て呼んだというのです。
「もうその湯のところに来ておる」
「早いですね、それはまた」
「ほっほっほ、妖力があるからのう」
だからだと答える長老さんでした。
「呼べばな」
「あっという間にですか」
「皆来られるのじゃ」
「確かその妖力は」
どういったものか、先生はこのことも勉強して知っています。
「縮地法ですね」
「流石先生じゃ、ご存知か」
「言うならばテレポーテーションですね」
「瞬間移動とも言うのう」
「今風に言えばですね」
「うむ、それを使ってな」
それでというのです。
「ここまで来られたのじゃ」
「そうでしたね」
「とにかくじゃ」
長老さんはその飄々としたお顔で先生にお話するのでした。
「これからな」
「はい、お風呂に入ってですね」
「そこで話をしようぞ」
「わかりました」
こうお話してでした、先生達は長老さんに案内されてそのお風呂場に入りました。するとです。
そこにかなりの数の狸達がもうお風呂場の中にいました、皆二本足で立っています。
その狸達を見てです、加藤さんが言いました。
「成程、この狸さん達が」
「うむ、愛媛の化けられる狸達じゃ」
「皆さんがですね」
「わしは松山におるがな」
それでもというのでした。
「皆愛媛のあちこちにおるのじゃ」
「ううむ、そうですか」
「皆少なくとも五十年は生きておる」
「五十年生きて、ですね」
「そうして妖力が備わるのじゃ」
「そこは猫又と一緒ですね」
尻尾が二本ある妖怪です、猫が五十年生きるとそれで妖力が備わるのです。そうしてそれと共に尻尾が二本になるのです。
「五十年生きると妖力が備わるのは」
「左様じゃ、このことはな」
「狸さん達以外にもですか」
「狐さん達も犬さん達もじゃ」
彼等もだというのです。
「後どうやらこの方々もおられなくなったが」
「その種族は」
「狼さん達もな」
ニホンオオカミです、この動物も絶滅したと言われています。
「そうじゃった」
「五十年ですか」
「人間の五十年とはまた違う」
動物達の五十年はというの
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ