第一章
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そう娘に言ったのであった。隣の部族で長い間サラナク族と対立している。その部族の有力者と対立を続けていたのである。
「そこの村長の息子とじゃ」
「私が?」
「そうじゃ。いいな」
深い皺が刻み込まれた顔であった。オジータには似ておらず精悍な顔だ。その顔でじっと娘を見ている。下から燃える火が彼を照らし出していた。オジータは自分もそうなのだと思いながら父の顔を見ている。しかし火が照らし出すその顔は父のものとは全く違っていた。
「これでサラナクとの衝突はなくなるのじゃ」
「そうですか」
「そうじゃ。わかったな」
有無を言わせない言葉でオジータには何も言えなかった。そんな彼女の心は父は知らなかった。知っていたとしてもどうにもならなかったであろうが。
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