第三章
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「身体のあちこちに非常に小さな穴があった」
「穴!?」
「穴ですか」
「そうだ、穴があった」
署長はこのことも話した。
「あちこちにな」
「じゃあその穴からですか」
「血を吸われたんですか」
「そうらしいな」
「何か奇妙な話ですね」
「実に」
「私もそう思う」
署長もいぶかしむ顔で二人に答えた。
「吸血鬼かと思っているがな、実は」
「吸血鬼ってあれですよね」
ここでゴーが署長に言った、映画等で得た吸血鬼の知識を。
「牙から吸うとか首をねじ切ってそこから吸うとかですよね」
「あと舌に刺があってそこから吸ったりもするな」
「それなのに小さな穴ですか」
「針に刺されたみたいなな、それも何千とだ」
「何千も穴があったんですか」
「そしてそこから血を吸われていた」
「それはまた物凄いですね」
今度はユンが言った。
「何千も穴があったなんて」
「正直検死の医者も首を捻っている」
「あまりにも不可思議だからですか」
「犯人の見当がつかないらしい。ただ捜査をしていて奇妙なワユ警部がちらりとだが」
署長は第一発見者である二人にこのことも話した。
「現場の近くに赤いアオザイの黒く長い髪の女の後ろ姿を見たそうだ」
「赤いアオザイですか」
「黒くて長い髪の」
「写真もある。咄嗟に携帯で撮ったそうだ」
この辺りは警官という仕事故の職業的条件反射であろうか、その警部はそうした務めを果たしたというのだ。
署長は二人にその写真を見せた、見れば暗い街の中に小さくではあるが確かに赤いアオザイの女が写っている。
髪は確かに黒く長い、だが。
背中しか見えていない、顔はわからない。それでゴーもユンもいぶかしむ顔で署長に対して述べた・
「これじゃあちょっと」
「わかりかねますね」
「この女が事件と関係があるのか」
「さっぱり」
「今この街に夜出歩く現地の人間はいない」
その噂故にだ、このことはもう言うまでもない。
「それにこの女は見たところベトナム人だな」
「ええ、アオザイ着てるだけじゃなくて黒髪ですし」
「そうした感じですね」
「噂を知らない観光客以外で今夜に出歩く人間がいなくなっているからな」
何しろ出店の屋台でさえ夜は出ていなくなっているのだ、東南アジア名物といっていいそうした店達までもが。
「それで出歩いていること自体がおかしいだろ」
「まあそうですね」
「そのことは」
「だからだ、とりあえずこの女をな」
「探し出してですか」
「重要参考人として事情を聴取しますか
「まさかと思うがこの女が犯人の可能性もある」
そしてだ、この場合の犯人とは。
「人間でない可能性もある」
「吸血鬼ですか」
「それですか」
「君達も捜査に加わってもらう」
このこともだ、署
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