第三章
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その店の看板を見てだ、イタは共にいる母に尋ねた。
「占い師さんなのね」
「そっちがメインよ」
「じゃあ霊媒の方は」
「副業だけれどね」
「そっちもなのね」
「そう、確かな人なのよ」
こう娘に話すのだった。
「だからこの人ならね」
「私の目もなのね」
「何とかしてくれるわ」
「くり抜いたりせずに」
「だからそれはないから」
またこのことは否定した母だった。
「あんたの目は綺麗よ、傷つけることさえ勿体ないわ」
「じゃあ目に直接何かせずに」
「そう、何とかしてもらうから」
「だったらいいけれど」
「そう、じゃあいいわね」
「ええ、お店の中に入ってね」
「診てもらうわよ」
こう言ってだ、そしてだった。
二人で店の中に入った、そしてだった。
小さな、壁の至る場所にアクセサリーが飾られ置かれている店の奥に一人の老人を見た。その彼はイタの母の顔を見てだった。
そのうえでだ、こう彼女に言ってきた。
「やあ、デヴィさん」
「ええ、お久しぶりね」
「元気そうじゃな」
老人は嗄れた男の声で母に言ってきた。
「それは何よりじゃ」
「それでだけれど」
母は微笑んでその老人にこう切り出した。
「娘がね」
「ふむ。そちらの美人さんか」
「ええ、綺麗でしょ」
「モデルでも女優でも出来るな」
老人はイタの整った顔を見て今度は目を細めさせて述べた。
「特に目がな」
「目、なのね」
「綺麗なめじゃ。しかし」
「わかったのね」
「二つ憑いておるのう」
老人はイタの目をまじまじと見ながら彼女の母にこう話した。
「どうにも」
「そうなの、いいことと悪いことがね」
「起こるのじゃな」
「実は」
ここでだ、イタも老人に話した。
「私がいいことを思っている時に見るとその人にいいことが起こりまして」
「悪いことを思っているとじゃな」
「悪いことが起こります」
「そうじゃろうな。目は光じゃ」
ここからだ、老人はイタにこう話した。
「光からは何が出来たか」
「ペリです」
コーランに出て来る精霊だ、キリスト教で言う天使だ。
「ペリは光から生まれます」
「そうじゃ、つまり目はな」
「ペリが宿る場所ですか」
「そうじゃ、目は光を放つ」
だからだ、光から生まれたペリが宿る場所だというのだ。
「しかも綺麗な目にはな」
「強いペリが宿るのですか」
「うむ」
その通りだというのだ。
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