第七章
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「これよ」
「首をか」
「斧はいいわ、一撃で倒せるから」
「斧を振り回す聖母さんなあ」
「面白いでしょ」
「どれだけアバンギャルドなアートなんだ」
アバンギャルドは元々ソ連から出て来た芸術の分野とのことだ、とはいってもブロこヴィッチは芸術には疎いが。
「本当にな」
「それがいいんじゃない」
「よくないだろ、とにかく泥棒はだな」
「捕まえたわ」
「後はこいつを警察に突き出すだけか」
「シベリア送りかしらね」
「そんなの国家反逆罪か国家機密漏洩罪でないと送られないからな」
ソ連時代の話だ、時々そうでなくても適当な理由で送られた。
「泥棒位だとな」
「大丈夫なのね」
「まあ普通の刑務所送りだよ」
ロシアの、である。
「こいつはな」
「そうなのね、まあこれで泥棒は捕まったわね」
「よかったな、このことは」
「ええ、ハッピーエンドね」
「朝起きてテーブルの上に生首とかじゃなくてよかったわ」
タチヤーナはしみじみとした口調で述べた。
「そんなことになったらね」
「大変だったな」
「全くだ、本当にな」
こう話すのだった、夫婦で。
何はともあれ泥棒はマリアの力で解決した、彼はこのことについて店に行って親父にこう話したのだった。
「あの聖母さん洒落になってないな」
「何だ?斧でも出してきたか?」
「知ってるんだな、そのこと」
「あの聖母さん斧使いでもあるんだよ」
「そんな聖母さんがいるだけでも驚きだよ」
「だから呪いのイコンなんだよ」
親父は笑ってプロコヴィッチに言う。
「あのイコンも聖母さんもな」
「ぶっ飛んでるな、斧のことも」
「そうだろ、けれどあんたもな」
「俺も?」
「結構楽しんでるわ」
笑顔のまま彼に言う親父だった。
「それもかなり」
「かなりっていうか驚いてるな」
そうだと答えるブロコヴィッチだった。
「あんな聖母さんいるなんてな」
「何度も言うから呪われたイコンだからな」
「あんなのか」
「まあ楽しんでるならいいさ、けれど何度もいいのかってあんたに尋ねただろ」
「買う時のことだよな」
「それは慣れないと大変な相手だからだよ」
あのマリアは、というのだ。
「合わないとな」
「それでなんだな」
「そうだよ、しかし楽しくやってるならいいさ」
「正直色々滅茶苦茶な聖母さんだけれどな」
「それでも楽しいだろ」
「退屈はしないな」
こう答えた彼だった、そうして。
家に帰ってそのうえでまたイコンから出ていたマリアの相手をするのだった。少なくとも呪いも悪いものだけではないことはわかった、それで妻にもこう言った。
「このままあの聖母さんと一緒に住むか」
「それがいいわね、楽しいから」
「ああ、そうだな」
微笑んで話す、少なくとも
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