第六章
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「鍵あけの名人らしくて」
「迷惑な名人だな」
「ええ、だからね」
それでだというのだ。
「用心はしておくけれど」
「寝ている時に入られるとな」
「面倒だよ」
「そうよね」
こう話す二人だった、そしてその二人のところにだった。
マリアが来た、掃除をしている最中で相変わらず派手に音を立てている。その彼女が二人にこう言ってきた。
「泥棒なんか怖くないわよ」
「あんたがいるからか」
「うちは」
「そう、私はイコンから出て来ているからね」
それでだ、どうかというと。
「寝ることもないから」
「だからか」
「泥棒が来てもなの」
「そう、大丈夫よ」
こう笑顔で話すのだった。
「私がいるからね」
「だからか」
「大丈夫だっていうのね」
「そう、任せて」
笑顔のまま言うマリアだった。
「泥棒のこともね」
「いや、若しもな」
ここでこう彼女に言ったブロコヴィッチだった。
「泥棒が来たらね」
「その時は任せて」
「あんたにかい」
「いつも言ってるけれど私は聖母よ」
自分でこう言うマリアだった。
「泥棒なんて一捻りよ」
「ってあんた戦えるのかよ」
「これがあるわ」
こう言って何処からか出してきたのは斧だった、それも戦場で大柄な戦士達が振り回していた巨大なバトルアックスだ。
その斧を出してきてた、ブロコヴィッチに話すのだった。
「大丈夫よ」
「泥棒殺すんだな」
「神の罰を与えるのよ」
「何か聖母とは思えない言葉だな」
「そうかしら」
「聖母様が人を殺していいのかよ」
例えだ、泥棒でもだというのだ。
「それはどうなんだよ」
「だから悪人に神の罰を与えるのよ」
まだこう言うマリアだった、バトルアックスを手に。
「聖母としてね」
「何か色々突っ込みたいな」
「そうなの」
「ああ、とにかく泥棒が来てもか」
「地獄に送ってあげるわ」
まだ言う彼だった、そのうえで。
家の夜はマリアが守ることになった。そうしてだった。
ある朝だ、ブロコヴィッチとタチヤーナは起きてリビングに入るとだ。そこに。
半殺しにされて全身傷だらけになって縛られている人相の悪い男がいた、ブロコヴィッチはその男を見てだった。
丁度テーブルの椅子に座って悠然としているマリアにだ、こう問うたのだった。
「殺さなかったんだな」
「斧を使うまでもなかったわ」
こう答えたマリアだった、それも平然と。
「弱かったわ」
「じゃあ必要とあればか」
「決まってるじゃない」
平然として答えたマリアだった。
「斧で頭をね」
「かち割ってたんだな」
「それか横に振ってね」
そうして斬ってとだ、右手で首を横に掻き斬る仕草をしてみせて言った。
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