第三章
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「自分のことより他の人のことよね」
「だからですね」
「ええ、先生も自分のことはお願いしないわ」
そうするというのだ。
「他の皆のことをお願いするわ」
「そうすれば織姫さんと彦星さんにもいいことがあるから」
「だからね」
「はい、そうしましょう」
こうしてだ、先生もだった。
自分のことではなく他の皆のことをお願いした、愛と同じく。
するとだ、暫くして。
クラスの皆に次々といいことがあった、その生徒それぞれだが。
先生の両親と兄の病気もかなりよくなった、流石に水虫はしぶとかったが。
先生の妹も彼氏と仲直りが出来た、それにだった。
愛の願いごともわりかしその通りになった、しかも。
愛は皆のことをいつもお願いしていることがわかったので皆からの人気者になった。先生自身にもだった。
笑顔でだ、愛にこう言った。
「先生お見合いしてね」
「どうなったんですか?」
「とても素敵な人で、しかもね」
「しかも?」
「その人も先生のことを好きだって言ってくれたの」
「それじゃあ」
「ええ、婚約したわ」
そうなったというのだ。
「だからね、もう少ししたらね」
「先生結婚出来るんですね」
「そうなると思うわ」
実際に、というのだ。
「先生も幸せになれそうよ」
「おめでとうございます」
「有り難う、ただね」
「ただ?」
「これで織姫さんと彦星さんが幸せになれば」
愛が言っている様にだ、そうなればというのだ。
「いいわね」
「そうですよね」
「けれどお二人はどうして幸せになれるのかしら」
このことがわからずだ、先生は首を傾げさせてこうも言った。
「先生そこがわからないわ」
「織姫さんと彦星さんがですか」
「お二人は一年に一度しか会えないのよ」
「お互いに愛し合っていてもですね」
「その会える時は最高の幸せの時の筈だから」
「それ以上にいいことはですか」
「何なのかしら」
それがわからないというのだ。
「どうもね」
「そういえばそうですよね」
「先生そのことがわからないわ」
「どうなるんでしょうか」
「けれどね」
どうしたらあの二人が幸せになるのかはわからない、それでもというのだ。
「お二人も幸せになれればね」
「そうなってくれればいいですね」
「先生達みたいにね」
他の人のことを心からお願いしてだ、自分達がそうなった様にだ。
そうしたことを話してだ、そしてだった。
先生達はとりあえずは織姫と彦星も幸せになる様にお願いした、その時空では。
その織姫が彦星と話していた、川を挟んで。
そうしてだ、こう言い合うのだった。
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