第十章
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だからな」
「貴様、まさか」
「この国にも何度か来ている」
役はにこりともせず老人にこうも告げた。
「私の長い人生の中でな。伯爵と呼ばれていたこともある」
「伯爵、欧州の爵位か」
「ブルボン朝の頃にな」
「まさかあの伯爵か」
「そう呼ばれてもいた、その私に読みで勝てるにはな」
それにはとだ、役は全身に攻撃を受けてその身体が今にも崩れようとしている老人に対してこうも告げた。
「私以上に知らねばな」
「くっ、まさか主程の者が来たとはな」
「人は力量だけでは駄目だ」
こうも言う役だった。
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