第三章
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「今別の仕事にな、腕の立つ面々は雇って向かってもらっていてだ」
「それで、ですか」
「私達に依頼してくれたのですね」
「そうだ、君達の話は聞いていた」
本郷と役のだ、それはというのだ。
「だから頼むぞ」
「仕事なら」
「絶対に果たさせてもらいます」
「そういうことで頼む、しかしだ」
「死人ですね」
「彼等がですね」
「非常に厄介な相手だ」
老婆が使っている彼等が、というのだ。
「噛まれるなり引っ掻かれるなりすればだ」
「それで、ですね」
「攻撃された人もですね」
死人になり老婆に操られてしまう、二人はこのことはこれまでしてきた多くの仕事での経験からわかった。
「死人になって」
「増えていくと」
「そうだ、今考えていることはだ」
大佐がここで言うこととは。
「村ごとな」
「焼き払う」
「それですね」
「火炎放射器なり何なりな」
そうしたことを使ってだ。
「そうしてな」
「まあ死体も焼けば」
「それで終わりですね」
「そうしようかと思っている。しかしだ」
ここでだ、大佐はその引き締まった端整な顔を顰めさせた。そのうえで本郷と役にこう言うのであった。
「だが彼等もムスリムだ」
「だからですね」
「ムスリムだからこそ」
「死体を焼くことはだ」
その行為自体がというのだ。
「火葬になるからな」
「火葬はイスラムでは厳禁ですからね」
「土葬でなければならない」
絶対に、とだ。大佐は本郷の言葉に答えた。
「死体も燃やしてはだ」
「ならないですね」
「ですから」
役も言ってきた。
「それは、ですね」
「私も強い抵抗があるしだ」
それにだと言う大佐だった。
「軍でもな」
「反対意見が多い」
「そういうことですね」
「彼等は死人になり操られているがだ」
それでもだというのだ。
「ムスリムだ、ムスリムの死体を燃やすことはな」
「アッラーの御教えに反する」
「それ故に」
「最後の最後だ」
この処理はというのだ。
「絶対に出来ない」
「そうですか、では」
「我々も」
「出来ればだ」
ザッハラームも軍人である、だから最終手段として頭には入れていた。だがそれでもなのだった。
「それは最後にして欲しい」
「わかりました、では」
「我々も火は最終手段にします」
「そうしてくれ、絶対にな」
ザッハラームは強い声で二人に告げた。
「ではその様にな」
「はい、それでは」
「そうさせてもらいます」
「問題はです」
アジュラーンもここで二人に言って来た。
「その老婆をですね」
「はい、その死人使うという」
「その老婆をどうするかですね」
「おそらくあの死人はグールです」
アラビア圏の動く死体だ、様々な話に出て来る。
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