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原石とダイア
第五章
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そこを見下ろした。自分をからかう為に誰かいればそこから見えるだろうと思ってそこから見下ろしたのだ。
 しかしそういった人間はいなかった。仕掛けもない。そこには女の子が一人立っているだけだった。その娘がどうしてそこいいるのかはもう考えるまでもなかった。
「本当みたいだな」
 ここに至ってやっとその考えになった。そうしてようやくそこから下りて校舎裏に向かった。そこにいたのは小柄で可愛い女の子だった。
「あっ・・・・・・」
「ひょっとしてあの下駄箱の手紙の?」
 光臣は自分の顔を見て驚いた顔になったその女の子に対して問うた。見れば顔は少しばかりふっくらとしているがそれでもかなり可愛い。髪の色は黒でロングヘアにしている。その娘がそこにいて彼を見て顔をあげたのである。
「あれはまさか」
「はい」
 女の子は戸惑いを残したまま彼の言葉にこくりと頷いた。
「そうです。私です」
「そうだったんだ。君が」
「先輩」
 実は彼は二年である。今の言葉からこの女の子が一年であることがわかる。
「私、前から先輩のことが」
「僕のことが」
「ずっと前からでした」
 これは彼にとっては思いも寄らない言葉であった。
「ずっと前からでしたけれど最近余計に格好よくなられて」
「ずっと前って!?」
 まずこの言葉について女の子に問うた。
「あの、それって」
「はい、ずっと前からです」
 顔を真っ赤にさせてまた俯いてしまってから彼に話す。
「ずっと前から先輩が好きでした」
「嘘・・・・・・」
「嘘じゃありません」
 女の子は今の光臣の言葉を全力で否定した。
「本当にずっと前からです。見てました」
「そうだったんだ」
 以前のあまりにも地味な自分を見ていた。そのことに唖然としていた。しかしそれでも女の子の話は聞いてそれに応じていた。

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