第二章
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「そういう人って」
「面白いか?」
「機械みたいな人よね」
「サイボーグっていう噂もある位な」
とかく機械の様な男だというのだ。
「何処かの改造人間とかな」
「それで人が後ろに立ったら殴ってくるのよね」
「そういう手の噂の絶たない人だよ」
「そうなのね。それじゃあね」
ここでこう言った美沙子だった。
「考えがあるんだけれど」
「考え?」
「ええ、それはね」
美沙子は修一の耳元に口を寄せて己の考えを話した、もう三十五で結構歳を感じさせる顔だが顔立ち自体はいい。とはいってもホステスの中でもとりわけあだっぽい感じが普通の女ではないことを匂わせていた。修一にしても髪型は普通のサラリーマンと同じだが目の光が違う。明らかにそちらの筋の顔立ちである。
その夫にだ、妻は話してからだ。微笑んで彼に尋ねた。
「どうかしら」
「本気か?」
「こういうことしても怒らないわよね」
「まあそうだろうな。ルーツを探ってる訳じゃないからな」
「殺されたりしないわね」
「そういう話は聞かないな」
全く、というのだ。
「幸いな」
「それじゃあいいわね」
「ああ、やってみるか」
「ええ、いいわね」
「今度あの人にまた仕事を依頼するからな」
殺し屋である彼にだ、それだけでわかることだった。
「それじゃあその時にな」
「ええ、やってみましょう」
「そういうことでな」
「全く、御前は」
ここで修一は呆れた顔で女房に言った。
「幾つになっても悪戯好きだな」
「だって面白そうだから」
「それでやってみるんだな」
「ええ、そういうことでね」
こうしてだった、その西郷が組の本部に来た時にだった。修一は自分の親分である会長に美沙子の考えを話した。すると。
会長は唸ってだ、こう彼に言った。
「御前の女房は相変わらずだな」
「とんでもないことを考えますね」
「全くだ、ただな」
「ただ?」
「面白いな」
それは確かだというのだ。
「実際な」
「それじゃあやりますか」
「ああ、やってみよう」
「問題は報復ですね」
修一は会長にこのことも言った。
「あの人絶対に報復しますね」
「契約相手が嘘を吐いたらな」
「報酬より予算をかけてですね」
「ああ、徹底的に報復するからな」
それが西郷という男だ、彼は依頼主が契約に反する行為をした場合依頼主に対して必ず報復することでも有名なのだ。
「そこは問題だな」
「ですね、俺達も額に穴開いたら困りますからね」
「まだ地獄には行きたくないからな」
会長もこう言う・
「それが問題だな」
「はい、ですから」
「契約の条件を調べてみるとだ」
会長は修一に話す。
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