第四章
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「何だ、いるとしたら」
「それで不思議とな」
「阪神を観てしまうな」
「思わずな」
「ついつい」
「何がいるんだ」
彼等は甲子園球場の中を見回した、それでだった。
首を傾げさせた、だがそれでもだった。
それが何かは見付からない、しかし。
彼等はここで思い出した、甲子園のある話を。
「そうえいば言われてるよな、甲子園にはな」
「ああ、魔物がな」
「魔物がいるってな」
「じゃあ魔物か」
「魔物がここに実際にいるんだな」
このことを思い出した、そうして。
それでだった、彼等は甲子園の中をさらに見回すが。
誰もいない、しかし彼等は確信したのだった。
「甲子園の魔物か」
「甲子園球場には魔物がいるんだな」
「それの力か」
「魔物の力が甲子園を余計に魅力的にさせているのか」
「そして試合も」
その試合もだった、見れば。
今実際に甲子園で行われている試合は白熱していた、一進一退だった。その試合をしている。彼等はそれを観てわかった。
「阪神の試合ってな」
「とんでもない流れになるからな、よく」
「接戦でも圧倒的でもな」
「勝っても負けてもな」
「魔物の力って言われれるな」
これは高校野球でもだ、甲子園で星の数程ある名勝負もまた魔物がもたらしているものだと言われているのだ。
そしてだ、その甲子園を本拠地としている阪神もだ。
「劇的な試合が多いしな」
「それが余計に応援したくなるってな」
「ファンは言うな」
「魔物が演出してる試合か」
「甲子園の魔物が」
「それに甲子園自体にも」
魔物の力が及んでだ。
「不思議な魅力を引き出してるのか?」
「甲子園球場自体に」
「それがファンも熱狂的にさせて」
「テレビやラジオ、ネットから伝わって」
「阪神ファンを増やしてるのか」
「そうなのか」
彼等は熱狂の中でそうではないかと考えた、そうして。
また魔物を探すがやはりいない、姿は見えない。
しかし今ははっきりと感じ取った、魔物の気配を。
それでだ、こう言った。
「魔物の力だったんだな」
「甲子園の魔物がな」
「甲子園の他の球場にはない魅力を引き出して」
そして、とだ。彼等は話していく。
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