第二章
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第二章
「背もスタイルも。普通ね」
「普通なんだ」
「何もかも普通なのよね」
そう、本当に全てが普通なのだった。
「性格も勉強もスポーツもね。つまり全部平均なのよ」
「それが駄目だっていうの?」
「駄目も駄目、全然駄目よ」
我が子をこれでもかという程否定する。
「どうにもならないわね。これだったらモヒカンにしてバイク乗り回して騒いだ方がずっといいわね」
「そんなことしたら何処かの暗殺拳の伝承者にやっつけられちゃうじゃない」
「じゃあせめて世紀末覇者みたいに筋肉モリモリになったら?」
母親もよりによってとてつもない対象を出してきた。
「トレーニングでもして」
「トレーニングね」
「勉強もしてね。あとは」
「あとは?」
「ファッションとかヘアースタイルとか研究したら?」
このことも提案してきた。
「そういうのもね。どうかしら」
「外見もなの」
「中身も外見も」
母親が言うのはその両方に関してであった。
「どちらもよ。どうかしら」
「どっちもって」
「目立ちたいのよね」
「うん」
母親の今の問いにはすぐに頷いた。
「それで女の子にもてたいのよね」
「そうだよ」
今度はさらに正直に答えた。
「やっぱり。僕だって」
「もてないと結婚できないわよ」
母親の言葉は実に容赦がない。まるで鞭だ。
「お母さんだってお父さんに物凄いアプローチ受けたんだから」
「お母さんはもてたってことね」
「そう、お父さんその時は結構いけてたし」
話に少しお惚気が入って来た。
「あの時はね。お兄ちゃんによく似ててね」
「そうだったんだ」
「今はお腹が出ちゃってるけれど」
しかしこうも言うのだった。
「残念なことに」
「昔は痩せてたんだ」
「そういうこと。だからあんたも」
とりあえず自分の夫のことは強引に話を終わらせた。
「格好よくなりなさい」
「格好よくね」
「そう、ジャニーズでもD−BOYSでも何でもいいわ」
さりげなくそういうのはチェックしているようである。
「格好よくなりなさい、目立ちたかったらね」
「わかったよ。それじゃあ」
ここは母親の言うことに従ってみた。ファッション雑誌等を買って服装や外見をチェックして毎朝ランニングに筋トレもはじめた。勉強も頑張ってみてそれから暫くすると。周りから声をかけられるようになった。
「なあ江崎」
「今度暇か?だったら街行こうぜ」
最初はこんな感じだった。そして声をかけてきたのは男だけだったがそれはやがて女の子達からも声がかかるようになってきたのだった。
「ねえ江崎君最近変わった?」
「何かあったの?」
女の子の方がストレートだった。彼に率直に言ってきた。
「成績もあがったり体育でも活躍するようになったし
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