罪と相棒
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目を覚ませば夕方だった。
外は少し肌寒くなり季節の変わりを直に感じられる。
もう、夏から秋になる。
仮想世界の中でも季節が存在するのは昔は違和感を感じていたが今はもう慣れた。
「イナーシャ」
昔、相棒だった少女の名前が自然と口から溢れた。
多分、夕暮れのせいだろう。
初めて相棒とダンジョン攻略に向かった時の帰り今みたいな夕暮れが空を染めていた。
「あれ?」
少年の目から雫が溢れる。
表情は普通なのに悲しくないのに涙を流し少年の視界を遮った。
涙を拭っても拭っても少年の涙は止まらない。
涙だけが俺の目から溢れていった。
「俺が君を、、、、、、殺した」
相棒 イナーシャは俺を守る為に自身を犠牲にして俺を助けた。
仮想世界の人間は俺を恨み憎んでいるのに彼女は俺を助ける為に命を犠牲にした。
彼女だけなら逃げられた。
彼女だけなら助かった。
俺が死んでいれば彼女は逃げ切り助かった。
全ての原因は俺に有る。
「仮想世界で俺が存在したから。
俺が皆に呪いを与えたから」
俺が仮想世界にログインしなければデスゲームだけで済んだ。
俺がユニークスキルを使わなければ皆、助かった。
「ごめん。
俺が全部、悪いんだ」
涙は少年の目から更に溢れる。
表情は普通なのに涙は止まらず少年の視界を更に不安定に変えていく。
「タクト?」
友達の声が聞こえる。
俺は前を向き友達の声がする方を向く
「キリト?」
「戻らないから探したんだぞ。
て、泣いてたのか?」
俺を顔を見て少年は戸惑た。
まさか無愛想な人間が一人で悲しく泣いているとは思っていなかったのだろう。
「昔の事を思い出してた」
過去の出来事、相棒の声、相棒の姿が俺の頭に浮かび上がる。
隣に居た筈の相棒 イナーシャは人見知りの俺に優しかった。
言いたい事が言えない俺を言いたい事を言える人間に強調しようとしたり。
俺が危険な時は協力して助けてくれた。
彼女が仮想世界に存在しなかったら俺は死んでいただろう。
彼女が居たから俺が存在している。
彼女が生きていたから俺は生きている。
「思い出してたか。
俺は思い出したくないな」
キリトは表情が笑っているが目が死んでいた。
俺も出来れば思い出したくない。
でも、受け入れて先に進まなければ先に進めない。
彼女の死を受け入れて先に進みデスゲームを終わらせる。
それが俺の望みだ。
「お前はこのデスゲームがクリアされたらどうするんだ?」
「クリア?
終わったらか」
少年は考えた。
デスゲームをクリアして終えても俺には自由はない。
俺は決めている。
デスゲームがクリアされたら俺は死ぬと
「俺は幕を閉じる
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