第一章
[2/2]
[9]前 最初 [2]次話
一人暮らしなのだ。その彼女ですら家に帰れば猫に気付いてもらえるのである。
「サワディーちゃんお父さんにも声かけるわよね」
「うん」
「やっぱりあんただけなのよ」
また息子に言うのだった。
「目立たないの。あんただけよ」
「兄貴は?」
彼には兄もいる。兄弟で一番上だ。
「部屋に篭って自分の仕事ばかりしてるけれど」
「何言ってるのよ、サワディーちゃんの世話してるの実朝よ」
「世話を?」
「そうよ。いつもしてるじゃない」
尚兄の仕事は漫画家である。そこそこ売れているらしい。
「それに外見もあんたとは違うし」
「目立つっていうの?」
「顔はいいわよね」
実はその兄も姉ももてる方である。兄は漫画家という仕事柄家にいてばかりなので出会いは少ない。しかしその顔写真を見てそちらでもファンになる女の子すらいる。姉はずっと同じ彼氏がいてしかも大学まで一緒である。二人共そちらでも恵まれていた。
「あんたもね。顔はね」
「顔は?」
「普通ね」
いいとも悪いとも言わない。
[9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ