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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十話 それぞれの練習へ
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行くの早いと考える大人がいたり色々な理由があるが……得てして最もわかりやすいのは、「どうせ勝てない」からだ。

「そーか、しかしお前らも出場するって事ァ、オレのライバルって事になるよな?」
『齢十歳で、モニターの向こうで派手な魔法を飛ばし合い、雑誌の誌面にも乗るようなトップファイターとやり会うなど、土台無理な話だ』彼等の保護者やコーチは、軒並みそう考える事が多いのだ。彼等の考えははっきり言って正しい。現実、殆どの場合はそうだし、寧ろ幼いうちにそういった経験をしてしまう事で、その後ずっと「自分には無理」と考えてしまい、魔法戦競技を止めてしまう子供もいる。
幼いうちに受ける精神的なダメージと言うのは、物事の道理をしっかり学んだ者たちが受けるダメージと比べてどうしても大きくなってしまうもである。そういうダメージをわざわざ負わせるために試合に出す位なら、もう1、2年待ってからでも出場は決して遅く無い。
選手の事も考え、大人はそう結論を出すし、何より出場する彼女、彼等にとっては、ハリーのような選手は文字通り「雲の上の人」なのだ。そんな連中をやり会おう等とは、そもそも思いもしない10歳児も多くいる。

……しかし、出場するとなったら、その言い分は通用しない。

「“いえ、そんな”」
仮に大会を進み、より多く戦い、あまつさえ都市本戦への出場を目標とするのなら、彼女達は相手を打ち負かし、自らが勝利するよう、全力で努力しなければならないのだ。

そう──

「……試合であったら……“容赦なくブチのめすぜ?”」

──相手が誰であっても──

「っ!」
「!?」
突如としてハリーから吹き荒れた闘気……彼女達にとっては“殺気”と同義のそれに、一瞬でコロナとリオは顔色を変えた。
コロナは突然の事に身体を硬直させ、リオは反射的に距離を取るためバックステップ。

ちなみにこれが試合なら、この時点でコロナは終わっている。

そう。「いえ、そんな」では無いのだ。ハリーにああ言われた瞬間、「そうですね」と、本来なら彼女達は返さねばならない。
何故なら地区予選で同様の大会内居る以上、ハリーと当たる可能性は目標通り勝ち抜いたなら確率的に十分ある。そしてもしそうなり、同じリング上に立ったならばその時彼女は、《憧れの上位選手(トップファイター)》等では無く、お互いに勝つか負けるかを競い、闘う《好敵手(ライバル)》なのだから。
リオもコロナも、そのまま構えに移行するが、それ以上ハリーは一切手を出す様子も無くフッと笑った。

「まー、安心しろチビども。オレァ予選シード枠だ。滅多な事じゃ当たりゃしねーよ」
「で、ですよね……」
「あはは……」
違う。反応は遅く、気当てだけで身体をすくませるような圧倒的な力の差だ。ハリーの発言は、本人にその意図
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