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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十話 それぞれの練習へ
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切にして居た雪原豹のつがいの中で、一度だけ、生まれて来る事の出来なかった個体が居た。
オリヴィエは何時も気の早い女性だったので、生まれる前から生まれて来る豹達には名前を付けていて。確か、あの時生まれる事の出来なかった子の名前は……
『そう……二人が好きだった、物語の主人公……諦めずに進む……小さな英雄の名前……』
「個体名称、登録──」
その名は、「洗練」を意味する言葉。
どうか物語の勇者のように、真っ直ぐ前に。研ぎ澄まされた剣のように洗練された武具となって、主を支える事が出来るように……
「貴方の名前は、アスティオン……
愛称
(
マスコットネーム
)
は、ティオ」
「にゃあ!」
空間に、翡翠色の魔力が満ちる。地に描かれた真性古代式の術式が光り輝き、少女の姿を包み隠す。
「アスティオン……セットアップ」
満ちた魔力が少女の姿を変える。白の胴着を纏い、身体は一気に成長し、体格も女性の其れへと変わる。やがて光が消えた時、其処にはセットアップを終えたアインハルト・ストラトスの姿が有った。
────
「…………」
聖王教会の敷地内。イクスヴェリアが眠るその場所で、ヴィヴィオは彼女と二人、部屋にいた。
「シャンテがね?教えてくれたよ。今の私が武器も持たずに大会に出たら、ぼろ負けだーって」
最後の瞬間のあの殺気とイメージ。あれは彼女なりの警告だったのだろう。今のヴィヴィオには、IMに出て勝ち抜くだけの力は明らかに足りない。
故に、もしでるのなら相応覚悟をしなければならない。怪我をする前に、もう少し考えたらどうかと、シャンテは言外に沿う警告してきたのだ。
実を言えば、其れはヴィヴィオ自身にも分かっている。ヴィヴィオの魔力特性は高速並列運用型詰まる所同時に運用できる魔力の最大値は決して高くは無い。格闘型は、向き不向きで言えば彼女には不向きなのだ。
だが……
「でも、私は格闘戦技が好きだし、ノーヴェが教えてくれるストライクアーツで強くなって行きたい」
其れにきっと、この道を歩んでいけば、何時かあの背中に追いつけると気が来るかもしれないのだ。いや、来させて見せる。もう一度、真っ直ぐに向き合いたいのだ。
「だから、クリスも、一緒に頑張ろう」
自らのデバイスに、彼女は語り掛ける。掌の上へ降りて来たクリスは、真っ直ぐにヴィヴィオの目を見ていた。
「強くなろう。今よりもっと……今日よりずっと……!」
堅く、そう胸に誓う。少女の夢は、まだ始まったばかりだ。
────
「…………」
リニアトレインの駅から降りて、少年は広がった青空を見た。
吹きすさぶ風はだんだんと温かくなり始めており、春もやがて夏へ変わり事を告げている。
「お、来たぞ?クラナ、行こうぜ」
「……うん」
ライノの声にコクリと
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