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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン12 泥水と永久電力
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け…………ここは大きく賭けに出る!カードをセットだけして、あとはこのままターンを流してエンドフェイズ、エクトプラズマー発射!」

 次の標的に選ばれたのは、すでに満身創痍のシーラカンス。魂を引きずり出される苦しみを隠せないようにその場で暴れだす魚の王だったが、どんなモンスターでもカード効果とプレイヤーの意思にだけは逆らえない。力尽きる寸前最期に一声吠え、魚の王の巨体は再び地面に崩れ落ちた。

 三沢 LP1550→150

「ぐわあああっ!?」
「三沢!」

 これまでのエクトプラズマーによるダメージの2倍近い数値。それをまともに受け止めた三沢もさすがに苦痛の呻きをこらえきれず、その場に膝をつきそうになる。なるが、そこで清明が叫んだ。彼がよく知っている、いつも通りの清明の声が。その声を聞き、踏みとどまって立ち直る。まさか元に戻ったのか、と清明を見るが、当の本人も彼の名を呼んだのかは自覚していなかったらしく、自分の口に手を当てて忌々しそうな顔をしていた。

「ちっ、もう起きてきやがったか………」
「何?」

 それは、間違いなく清明の言葉。なのだが、どこか彼とは違う何かが喋っているような印象を受けた。気のせいかと思い軽く首を振って頭をはっきりさせてから見直すと、その感覚はもう消えていたのだが。

 三沢 LP150 手札:2
モンスター:電池メン−単四型(守)
      ???(セット)
魔法・罠:1(伏せ)

 清明 LP700 手札:0
モンスター: ハリマンボウ(守)
      ツーヘッド・シャーク(守)
      フィッシュボーグ−アーチャー(守)
魔法・罠:エクトプラズマー
     2(伏せ)

「俺のターン、ドロー!」

 今一瞬だけ起きた当の本人にもよくわからない現象が収まった。そして三沢がカードを引くのを見ながら、それにしても、と清明は大事な一瞬だというのにふと考える。相変わらずこの男には、どうも勝てる気がしない。こちらが一生懸命知恵を絞って考えた戦略が、三沢にはまるで通用しない。いや、もちろん全く通用していないということはないしある程度ダメージは通るのだが、常に全部お見通しにされているような気がしてならないのだ。実際、彼は2年生になってもいまだに三沢相手には1勝すらできていない。現校生の中でこんな相手、あとは十代とノース校から帰ってきてからの万丈目くらいのものである。
 だけど、なんでこんなことを今考えているんだろうか。ふと疑問が彼の胸をよぎる。別に今じゃなくても、あとでじっくり考えればいいではないか。まるでそう、例えるならば『何か』に思考を誘導されていたかのような。なにかかんがえてはいけないことがあるかのような。でもなにが。なにが。なにが。な…に……が…………。


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