7話:ホストざむらい始動
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氷川は吸血鬼だ。
その名に相応しく、人間の血を吸い、驚異的な身体能力を持ち、太陽の光を浴びると灰になって消える。
一般的に言われている吸血鬼と違うのは、妖怪やモンスターではなく人間に規制する宇宙人―――星人だということだ。
(しかし、一体どうなッてやがるんだ?)
殺し合いに巻き込まれるのは、まあ納得が出来なくもない。転送されたのもあの場にガンツ玉があったのなら当たり前だ。
だが、あの女の言っていたルールブックとやらを見ると、制約が多すぎる上に、どこにもガンツのことを話すなとは書かれていないのだ。第一ルール違反を犯した者を殺すなら外される可能性のある首輪ではなく、いつものように頭に絶対に摘出不可能な爆弾を埋め込めばいいだけなのだ。
まあ、そんな事に興味はない。
氷川は殺し合いに乗る。
名簿を見たところ仲間はいない。ひょんな事からガンツメンバーになってしまったがそれは爆弾を埋め込まれたから仕方なくの事だった。
手を前方に差し出す。そしていつものように―――
(!?何も起きない―――)
銃が出ない。
殺し合いなら銃器が有利だと思ったのだが、出ない。
なぜかはすぐにわかった。
(・・・能力の制限か)
ルールブックに書いてあった。一部の者には能力を制限させてもらう場合がある、と。氷川の武器作成能力は対象になったようだ。
それなら、と今度は日本刀を出す。
(・・・よし、刀なら問題ないようだ)
鋭い日本刀が見る見るうちに生成されていく。終わったら軽く振って近くのデスクを両断するなどして切れ味を確認する。いつも使っている通りで、とくに制限を掛けられた風はない。
次に支給品を確認する。最初に見つけたそれらしきものは、何か液体か気体の入った透明な小瓶だった。説明書を見るに、要するにインフルエンザウィルスらしい。
小瓶を床に置いて他のものを確認する。
(なんだ、銃あるじゃん)
出てきたのはS&W M66。回転式拳銃で、正確にはS&W M19のステンレスモデルで装弾数は六発。弾は予め装填されており、予備の弾は一ダース。
氷川はS&W M66を懐に仕舞い、その際ジャケットの胸ポケットに煙草を没収されている時に気づいて舌打ちする。
氷川はそれで充分だと判断したのかデイパックのファスナーを閉じる。続いて床に置いていた小瓶を手に取り、思いっきり床にたたきつけた。パリンと音を立てて中身が散布される。
氷川はドアを開け、その建物―――伊園犯罪研究所を後にした。
先ほども述べたが、氷川は吸血鬼であり、太陽光やそれに似た光線は致命傷だ。浴びただけで一瞬で灰になってしまう。
それ故氷川は昼間は活動できず、自由に外を動ける今のうちに安全な拠点を探す必要がある上に、情報を収集しつつ参加者を殺害することも必
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