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その魂に祝福を
魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇5
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い。そんな事は分っていたが、気付かなかった自分に対する苛立ちを消すことはできそうにない。その苛立ちに任せて異境を発動させていた。幸い、フェイト達の魔力は領域内にあった。
 目的地は海沿い――何度かなのはを連れて言った事もある臨海公園だ。海が近づく事に、魔力の胎動を感じる。ジュエルシードだけではない。フェイトとなのはの魔力を感じる。もちろん、アルフとユーノもいる。最悪だった。個別の魔力を感じる以上、結界は低限でしかない。もしくは、張られていないのかもしれない。
「頼むぞ、二人とも……学習能力を働かせてくれよ」
 取りあえずはまだ平穏な海を見やり、呻く。昨夜のように魔力をぶつけ合えば、また暴走するだろう。ゴーレムは壊れたままだし、結界もない。仮に暴走した場合――どうにもろくな事にはなりそうになかった。だが、それよりも嫌な予感がする。
(何だ? これ以上何か面倒ごとが起きるのか?)
 何でも願いを叶える宝石。魔導師。虐待を受ける娘と虐待する母親。殺戮衝動。さすがにこれ以上増えられれば手に負えない――のだが。残念ながら増えたらしい。街を包む異境が悲鳴を上げた。この反応からして、新たな魔導師が侵入したようだ。慌てて異境の発動を停止させる。実際のところ、その頃にはもう異境は必要なくなっていた。
 なのはでもフェイトでもアルフでもユーノでもない、誰かの魔力を感じる。うんざりとした気分で認めてから、気配を消し様子を探る。戦場には、なのはとフェイト、アルフとユーノの他に、見慣れない男がいた。それが誰だかは分からないが――
「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。詳しい事情を聞かせてもらおうか」
 いや、わざわざ自分で名乗ってくれたらしい。……まぁ、だから誰だと言われれば困るが。しかし、
(時空管理局……?)
 言うまでも無く、聞き覚えのない組織だ。そのはずだった。だが――
(何だ……?)
 ざわりと、身体が――魂が疼いた。右腕が疼いたわけではない。束の間、右腕の衝動すらも忘れるほどに。つまり、この殺意は他の誰でもなく自分自身に由来するものではないか?
「もしも、このまま戦闘行為を続けるなら……」
 だが、正体の知れない殺意に困惑している暇はなかった。
 口上を遮って、フェイトが動いた。狙いは単純。中空に浮かんだままのジュエルシードだった。同時に、その魔導師も動く。フェイトに杖――デバイスを突きつけるのが見えた。それだけ分かれば充分だ。次にやるべき事は決まった。
 大体。どうせ殺戮衝動なら今も意識を蝕んでいる。今さらそれが高まったところでどうなるものでもない。
「何ッ!?」
 その魔導師――クロノとやらが攻撃を仕掛ける前に、鉄風車を放つ。さすがに防いだらしいが、その間にフェイトが封印を完了させる。魔導師が舌打ちするのが聞こえた。
「何者だ
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