魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇5
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り、今の自分にとって切り札となりえるのはこの宝石しかない。
それに、フェイトを救う以外に殺戮衝動を無力化できる可能性があるとすれば、それはこの宝石以外に考えられないという事もある。もちろん、どこまで当てになるかは分からないが……何であれ、使いどころは慎重に吟味するべきだろう。
「ところで、アンタは大丈夫かい?」
慎重に周囲を警戒しながら帰り着いた隠れ家で、不意にアルフが言った。
「何がだ?」
質問の意図が分からず訊き返すと、アルフは困ったような顔をした。
「いや、アタシもよく分からないんだけど……。でも、アンタ最近、何かおかしくないかい? 何か生き急いでるみたいだよ」
さすがに生き急いでいるつもりはないが――それにしても、なかなか鋭い。これが野生の勘という奴だろうか。
(それとも女の勘、かな)
どちらにせよ厄介なものだ。思わず苦笑する。
「のんびりしてる場合じゃあないだろ? 邪魔者も増えた事だしな」
「いや、アタシが言いたいのはそういう事じゃなくて――」
アルフの言葉は聞こえなかった事にして、話を打ち切る。
「さぁ、食事にしよう。これからは買出しもし辛くなりそうだが――まぁ、今日は材料もあるし、お前達の好きなものを作ろう。それで少し気分転換でもしてくれ」
最後の晩餐としゃれこむにはまだ少し早いかもしれないが――と、声にせず呟く。俺が俺でいられる時間。その限界はすでに見えていた。
――世界が終わるまで、あと十三日
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