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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
錬金術師の帰還篇
32.怒りの神意
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りました」
黒猫に向かって恭しく挨拶を述べた。
「しばらくぶりだね、友妃。そこの坊やが“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”かい」
猫は唐突にしゃべりだし、一瞬で彩斗の正体を見破ったのだ。
「あんたが師家様なのか?」
「これは師家様の使い魔だよ。本人は多分、今も高神の杜にいると思う」
緊張状態の友妃が、彩斗の耳元に囁いてくる。
「高神の杜って、確か関西じゃなかったか? そんな距離を操るとかどんだけメチャクチャだよ」
彩斗は苦笑いを浮かべるしかなかった。絃神島から本州までは、最短距離でも三百キロ余り。友妃たちが修行して高神の杜はそこからさらに数百キロ離れている。
「あんたのほうメチャクチャだろ。さっきの雷もあんたの仕業だろ?」
先ほどの出来事を見ていたかのような言葉に素直に驚きを隠せない。
「そのことを報告しに来たんだったら大丈夫だよ。
特区警備隊
(
アイランド・ガード
)
にはもう連絡しといたからね」
この人はなんなんだと思ってくる。
彩斗のことを知っていて、先ほどの出来事を見ていたかのように知っている。
この人は敵にまわさないほうがいいと本気で思った彩斗だった。
「そうでしたか。それでは私たちはこれで失礼させていただきます」
雪菜が立ち上がり、彩斗も帰ろうとる。
「友妃と坊やにはまだ話があるから残りな。雪菜はもう下がっていいよ」
「はい、わかりました。わたしはお先に失礼させていただきます」
雪菜が店から出て行こうとする。
「姫柊、すまねぇけど、夏音にもうちょっと遅れるって伝えといてくれないか」
そう言いながらポケットのスマートフォンを取り出す。先ほどの連続雷で彩斗のスマートフォンがぶっ壊れたのだ。
雪菜は笑みを浮かべてうなずいて店から出て行く。
「それで話ってなんだ。ニャンコ先生?」
元に直り、猫のほうを見る。
「ニャンコ先生とはまた変な呼び名をつけられたもんだね」
ニヤァと大きく口を吊り上げて笑う。
「あんたにも用はあるが先に友妃にだ」
友妃が再び片膝を突いて頭を垂れる。
「護衛の件だが、念のために続行でお願いするよ」
「はい。わかりました」
いつもの友妃とは違い顔つきが真剣だ。
「何事もなければおまえも普通の
小娘
(
ガキ
)
らしく楽しんできな」
「はい」
友妃はうなずいた。
「それじゃあ、“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の坊や」
金色の瞳を細めて、黒猫が彩斗に視線を向けた。
「おまえさんは式神を壊した責任をどうとってくれる?」
痛いところをつかれた。
たしかに式神を壊したのは彩斗だ。
「いや、あれは不慮
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