第三章
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めずそのまま続けてはいた。それでも言葉は違っていたのだ。
「とにかくよ。心よ」
「まずは心なんだ」
「それが一杯なら」
そしてまた言うのだった。
「お金なんていらないわ。かえって邪魔かしらね」
「邪魔って」
「だから。心さえあれば本当にいらないのよ」
このことを念押しさえしたのだった。随分と真面目な面持ちにさえなっている。
「それ、覚えておくことね」
「心さえあればなんだ」
「逆に言えばよ」
今度はこんなふうに言葉を変えてきた。
「幾らお金があっても心がなかったら何の意味もないわ」
「何も」
「そう、何もね」
こうも言い加えてきた。その間悠樹はテーブルの席に座ってじっと話を聞いていた。彼はただ話を聞いて頷くだけだった。
「意味ないわよ。女の子はね」
「女の子は?」
「見てるわよ」
「見てるんだ」
「そうよ。何でもね」
言葉が鋭いものになってきていた。ビールを飲みながらもだ。
「見てるわよ。若し心がなかったら」
「どうなるの?」
「終わりよ」
一言で言い捨てたのだった。
「それでね。何もかも終わりなのよ」
「終わりなんだ」
「そう、何もかも終わりよ」
また言う奈々だった。
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