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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
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「司令長官とメルカッツ提督は違うな」
「その通りだ、ファーレンハイト提督。メルカッツ提督は元々は司令長官の上官であった。ローエングラム伯と似たような関係だな。しかし二人の関係を危ぶむ人間はいない。司令長官はメルカッツ提督を軍の宿将として遇しメルカッツ提督もそれに応えている。極めて円滑だ」
ワーレンがフッと息を吐くとワインを一口飲んだ。俺とファーレンハイトも後に続く。重苦しい話だ、飲まずにはいられない。
「何時まで我慢出来るかな?」
俺が問い掛けると二人とも難しい顔をした。質問を変えた方が良いようだ。
「このままの体制で行くと思うか?」
一瞬の間をおいてワーレンが首を横に振りファーレンハイトが“分からんな”と言って太い息を吐いた。
「もうすぐ内乱が起きるはずだ。司令長官がローエングラム伯にどの様な役割を与えるか、それが鍵だろうな」
「明日の作戦会議か、ファーレンハイト提督」
「うむ、そこで分かるのではないかと思っているよ、ワーレン提督」
ファーレンハイトが一口ワインを飲んだ。
「早期に切り捨てるのなら一艦隊司令官として扱う、そうでないなら何らかの地位を与える……」
地位を与えるとすれば一隊を与える、そんなところだろう。“別働隊の指揮官、そんなところかな”と続けると二人が頷いた。
「切り捨てるときはメルカッツ提督が別働隊の指揮官になると思う。ローエングラム伯は司令長官の副将という形にして実権は与えずに一艦隊司令官という立場に留め置く。功績を立てさせずに適当な時期、多分内乱終結後だと思うが排除するだろう」
「そうかな、ファーレンハイト提督」
俺が疑問を投げかけるとファーレンハイトは訝しげな表情をした。
「ローエングラム伯がそれに気付かないと思うか? 俺にはそうは思えん。伯が気付かなくとも伯の周囲は気付くだろう。大人しく排除されるのを待っているとも思えん」
「では……」
「うむ、その時にはローエングラム伯は暴発すると思う」
俺の言葉にファーレンハイトとワーレンが唸り声を上げた。
「おそらく司令長官はそれも読んでいる筈だ。その上でローエングラム伯の処遇を如何するか、考えているだろう。場合によってはローエングラム伯を排除するのは内乱の最中、いやもしかすると内乱が起こる前かもしれんな」
「……」
二人とも無言だ。内乱を前にしてローエングラム伯の排除など正気の沙汰では有るまい。だが二人とも否定は出来ないと考えている筈だ。司令長官は外見は穏やかだが必要とあればどんな無茶でもやる人だ。その事を俺達は誰よりも良く分かっている。ワーレンが息を吐いて“厄介だな”と言った。
「暴発となれば単独では有るまい、味方を募ろうとするだろう」
「……ロイエンタール、ミッターマイヤーか」
「うむ、あの二人はロ
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