禁断の果実編
第100話 Compromis
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ここまで見せられては、光実とて、もはや夢だとは思えなかった。
蔓が斬月を遠慮なく振り、投げつけた。斬月はベッドにいくつもぶつかってから、床に転がった。
変身が解けた貴虎は、床に這いつくばりながらも、光実のいるベッドを目指している。
そんな貴虎を、レデュエが操る蔓が鞭のように叩く、叩く。
はっきり言って、無様だ。なのに。
「〜〜っもういいよ! やめろよ! 何でそこまでするんだよ!」
光実は気怠い体を気力だけで起こし、根性だけで叫んだ。
光実一人が燃料になることで、辛うじて人攫いは一時中断しているのに。
光実が独りでユグドラシルに残り、レデュエの相手をしているから、ビートライダーズが人々を避難させる時間を稼げているのに。
「僕は人類の敵に付いたんだ! あんたの敵になったんだ! もうほっとけばいいじゃないか!」
光実がやっと見つけた役目さえ、この兄は取り上げようと言うのか。
「さびしいこと、言うなよ」
貴虎はボロボロのはずなのに、笑みさえ浮かべていた。
「兄弟だろう? 俺たち」
「にい、さ…っ」
限界だった。
(知ってたよ。信じたくなかっただけで。兄さんは僕を助けに来たんだって)
光実はついに、自ら、貴虎に向けて手を伸ばした。
兄弟が手を握り合う――その寸前。レデュエが貴虎の手の甲を踏みつけた。
「ぐあっ!?」
「兄さん! ――レデュエぇ!!」
『ああ、すまない。妬けてしまって』
「心にもないことを!」
するとレデュエは杖槍を離し、光実の両頬を持ち、光実の顔を自分のほうへ向かせた。
『ワタシはね、キミが思う以上にキミを気に入ってるんだよ。キミみたいなオモチャ、今まで出会ったことがないんだから。ワタシに反抗的な行動も、それを上回る屈辱を与えた時の顔も、最高にイイよ、キミ』
光実は悔し涙を流しながらも、その目に烈しさを宿してレデュエを睨みつけた。
レデュエは、その目こそがいとしいのだと言わんばかりに、にたぁり、と笑って光実から手を離した。
『さて、ワタシからそんな最高のオモチャを取り上げようとしたんだ。こいつには少しきつめのオシオキが必要だね』
レデュエは貴虎のスーツの首根っこを軽々と持ち上げると、光実が着けていたマスクを外して、それを貴虎に無理やり着けた。
マスクの呪術と装置が連動し、貴虎から生命エネルギーを吸い上げ始めた。
そうなればいくら貴虎でも、立っていることもできずに倒れた。
光実自身は自由になったが、今まで生命エネルギーを抜かれていた体では、無様にベッドから転がり落ちて終わりだった。
『交替で燃料をやれ。どちらが先に干からびるか。無力感に打ちひしがれな
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