禁断の果実編
第97話 不安へのプレリュード
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『でぇ……やああああああああ!!!!』
翼が開く衝撃で、蔓の全てが吹き飛んだ。
『紘汰くん、やっちゃって!』
『おう!』
月花が宙に飛んで離れるや、鎧武は鍵を回した。
《 火縄大橙DJ銃 》
鎧武は現れた大砲に、オレンジの錠前をセットした。
『これでも――喰らいやがれ!!』
鎧武がトリガーを引いた。あらゆる果実のエネルギーが銃口に集約し、極彩色の火砲となってレデュエへと発射された。
しかしレデュエもただではやられなかった。レデュエは再びヘルヘイムの植物を操り、近くのワゴンを盾にしつつ、自身はビルの上へと退避したのだ。
月花はヒマワリフェザーを駆って上方へと舞い上がった。逃がしてなるものか。
月花がレデュエと同じビルの屋根に降り立つ。だがレデュエに焦った様子はない。それが月花を苛立たせた。
『そうか。奴はすでに手にしているわけか。ジュグロンデョが付いただけにしては、おかしいとは思っていたが』
『――、どういうことよ』
臨戦態勢は解かないまま。けれど、月花の胸に打つのは恐ろしさへの鼓動。
すでに手にしている、とレデュエは言った。そして咲は、ヘルヘイムの遺跡でロシュオが黄金の果実から取り出した力であの「鍵」を生成する様を見ていた。
ミサイル群を消したのはロシュオだとヘキサから聞いた。あれほどの力の一端を紘汰が使っているのだとしたら、それは紘汰の体にとって本当に良いことなのか。
予感は、とめどなく走って。
『いずれ奴が力の意味を理解する日が楽しみだ』
『あ! 待っ……』
レデュエは身を翻し、ビルの奥へと去って行った。月花は何故か追うことができなかった。
呉島邸に帰り着いたヘキサと貴虎は、互いの部屋に戻るために一度離れた。
ヘキサは私室で、本当に久しぶりに、リトルスターマインのチームユニフォーム(夏仕様半袖版)に袖を通した。
やっと帰って来た。その実感が込み上げた。
着替え終わったヘキサは、貴虎の部屋へ向かった。
「兄さん。入っていい?」
返事はなかった。ヘキサはドアを開けて貴虎の私室に入った。
テーブルのよく見える位置に置き手紙があった。
“光実に会いに行く。お前は葛葉たちのガレージで待っていなさい。 貴虎”
置き手紙のすぐ横には、開けっ放しのアタッシュケース。
クッション材の凹みをなぞる。これはドライバーとロックシードが嵌められていた跡だ。
(貴兄さん、まさか)
予感はほぼ確信だった。ヘキサはデスクチェアによじ登り、貴虎のPCを起動した。
画面は「ユグドラシル・コーポレーション非常回線」というメール
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