No13 煙幕
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「よく、頑張ったな、ピカチュウ……」
俺はピカチュウを抱きかかえ、賞賛の声を送った。
「……ピ……カ……!」
ピカチュウは、ボロボロになりながらも、生きていた。
対してフリーザーは瀕死、ピカチュウの紛れもない勝利だ。
「ヒュォ……」ピクピク
「……やられましたね」
瀕死のフリーザーを見たアポロがそう呟く。
「フリーザーは倒した。俺の勝ちか? それともまだ手持ちがあるか?」
俺にはまだポケモンが残っている。だが流石にこれ以上の戦いはきついな……。
「……いえ、もう私の手持ちはありませんよ」
しかしアポロのその言葉で、俺は救われた。
「ア……アポロ様が……」
「負けた……?」
俺たちの戦いを終始見ていた取り巻きたちが呟きだす。
「(フリーザーがやられるとは、見くびってましたね……)」
「(ですが、既にここには用はない……)」
俺はピカチュウをボールに戻した。瀕死ではないとはいえ重傷。すぐにポケモンセンターに行きたいところだが……まずはこいつらを何とかしよう。
「ロケット団、もう分かっただろ? 俺がいる限りは世界制服なんて出来ないんだよ」
「……確かに私たちは少々、あなたを見くびっていたようだ」
「!?」
突然、アポロたちがけむりだまを取り出した。まさか煙幕で逃げる気か!?
「待て!」
しかし、奴らはけむりだまを投げ、煙幕を発生させてしまった。
何も見えない中、奴らが逃走する足音が聞こえる。
「逃げる気か! どこに行く!」
「あなたに教える必要はありません、では、さらばです」
煙の中、俺の声にアポロはそう答えた。
ちくしょう……奴らは最初からこのつもりだったのか!?
煙幕は晴れた。当然のようにロケット団はシオンタワーから消えていた。
ひとまず、シオンタワーは平和になったのか……?
「レッド!!」
「!? タ、タケシ!」
立ち尽くしていた俺に後ろから話しかけてきたのは、タケシだった。
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