第四章
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な言葉を必死に出す。彼女も必死だった。
「それだったら。彼女がいないんだったら」
「うん」
「私じゃ駄目かしら」
そう言ってきたのだった。
「私で。どうかしら」
「ナディアさんだったよね」
「えっ!?」
不意に名前を呼ばれて。思わず顔を上げてしまった。
「どうして名前を?」
「知っていたよ。だって奇麗だったかな」
「そうだったの。知っていたの」
「ナディアさんだたらいいよ」
ニカエルのこの言葉で天国と地獄がはっきりと別れた。ナディアは晴れやかな顔になりイレアナはどん底に落ちてしまった。まさに天国と地獄であった。
「僕はね」
「えっ!?」
この言葉はナディアにとってもイレアナにとっても思わない言葉であった。
「僕はって!?」
「だから。僕はいいんだよ」
にこりと笑ってナディアに告げる。
「ナディアさんなら。それで」
「それで?」
「ミハエルはイレアナさんが好きなんだ」
不意にそんなことを言うのであった。
「ミハエルって」
「あれっ、知らないの?」
今度はニカエルが不思議な顔をする番だった。今のナディアの言葉に目を丸くさせる。
「僕の従弟だけれど。一緒に転校してきた」
「一緒に!?」
実は二人はそれは知らなかったのだ。あっという間にニカエルに夢中になってしまったのとその従兄弟同士があまりにも似ていたからだ。とてもそれには気付かなかったのだ。そうした理由があるにしろ二人の注意不足と言えばそうなってしまう。
「そうだよ。ミハエルはね」
「ミハエル君は」
「イレアナさんが好きなんだ」
「嘘・・・・・・」
木の陰でそれを聞いたイレアナは思わず言葉を出してしまった。またしても思いも寄らない話だった。イレアナは何とか言葉を消すのに必死になっていた。
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