第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
24.July・Afternoon:『Predator』T
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
なったぞ────』
だから、誰が呆れ返ろうとも関係はない。全ては、己の選択。ならば、後悔だけはしないように。
『背後に佇む影』に還った、燃え盛る三つの眼差しに等は気付かずに、偃月刀を構えたままで。
「無茶を言わないでくださいまし。こんな厄介な相手を、貴方一人では荷が勝ちすぎると言うものですの────!」
今度は、従う事なく。四本の金属矢を転移させた彼女。狙いは、古都の靴。
「『───飢える、飢える……」』
それを縫い止めて相手の意識を逸らし、身動きを封じて直接転移で地面に服ごと縫い付ける。彼女の得意パターンだ。
「待て────ヤバイんだよ、あの本は!」
時速に直せば二九〇キロ。嚆矢の言葉は届く前に消える。
果たして、靴は縫い付けられた。しかし──狂信の祝詞は、既に最高潮。
「『飢える、飢える、飢える────!」』
揺れる。空間が、揺れた。水面のように、湾曲した時間が。
その刹那、まるで──否、正に押し出されて、黒子が路面に落下した。
「───────っ?!」
俯せに押し倒されて息を吐き出し尽くした所為で声も出ず、恐怖に目を見開いて。思い出したように吸い込んだ空気に感じたのは、以前に理科の実験で嗅いだアンモニアなど、可愛く思えるほどの刺激臭。
止せば良いのに、本能が言う事を聞かずに。振り向いてしまう。見るべきではない、悪夢すら生易しいと言うのに。
『Gruuuuuuuuu…………!』
「ひっ──────??!」
粘膜に酷く刺激を与える、腐った荒々しい息を吐くもの。まともに見た彼女は、思わず涙を浮かべた。
酷く不快な戯画化された狗にも見える、それは────
「『さぁ、お前への供物だ。貪り尽くせ────“ティンダロスの猟犬”!」』
いまだ時間すらなかった『角度ある時間』に潜む、あらゆる命を敵視する邪悪な異次元の狩猟者────!
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ