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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
24.July・Afternoon:『Predator』T
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を逃れ、偃月刀を降り下ろす。縦一閃の唐竹割りに、祭具の内の副魔王が貪り尽くす。
 三匹、呼び出された全てを斬り伏せた。これで、残るは本体の古都と『妖蛆の秘密(デ・ウェルミス・ミステリィス)』のみ。

「そういえば、名乗っておりませんでしたわね。風紀委員(ジャッジメント)ですの────大人しく、縛に付きなさい!」

 混乱が去り、目的を定めてしまえば、女は強い。いつもの通り、黒子は風紀の腕章を向けて声高に宣言する。いつもの通り、先ずは敵対者に降服勧告を。

「成る程……面倒な能力だ。主将の『制空権域(アトモスフィア)』だけでも難敵だって言うのに……」
『ふん、しかし、多寡だか空間移動よ……慌てる事はない、ミヤコ。打つ手なら、在る』

 だが、彼らは意に介さない。ぶつぶつと独り言のように某かを呟き始めた彼、その携える魔本の────更なる、悍ましき脈動、蠕動。

『そう、我の言う通りにすれば良い。そうすれば、君は目的を果たす事が出来る。君の望む、未来を』
「僕の……望む、未来……」

 虚ろに、風前の灯の如く繰り返す。魂を失った人形のように。
 当たり前だ、命を削っているのだから。魔に与するとは、そう言うことだ。

──ああ、そうか……あの魔本は、炉なんだ。命を()べれば、見返りに魔を孵す『魔の孵卵器(インキュベーター)』。
 だから、反動は古都には返らない。ただ、命を蝕まれるだけ……かよ!

 歯噛みする。不甲斐ない、と。この期に及んで、また、選択を誤るのかと。

────そう、その通り。人生など多寡だか五十年。されど人生とは、全て選択だ。後悔と慚愧に満ちた、苦しみの輪廻だ。それこそが、『クルーシュチャ方程式』だ。お前達(われら)に与えられた、二重螺旋の回答だ。

 囁く声は、誰の? 自分の思考、それとも────耳元に、這い寄った黒い影のもの?

「『────飢える(イア)」』

 目の前の古都に、手間取る訳にはいかない。だが、古都を見捨てる事も出来ない。更にこの先、木山春生から飾利を救出しなければならない。余りにも時間が、無いのだ。

────さぁ、選べ。捨てる方を選ばなければ、どちらも失う。出会って間もない、笑顔を向けてくれる少女か? それとも、長い付き合いの、敵意を向けてきた少年か?
 さぁ、どちらを選ぶ? お前は、どちらを()()()()

 そう、時間はもうない。誰かが嘲笑っていても、気になどしていられない。

「黒子────お前は、木山を追え。俺は、こいつをふん縛ってから追い掛ける」

 だから、二人ともを助ける選択を。明らかに、間違いだと……自分でも分かる、選択を。

『やれやれ……是非もなし、とは。それは、最悪の答えだ。見損
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