第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
24.July・Afternoon:『Predator』T
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
てる。風紀委員には、大能力者の空間移動能力者が居るって」
その残骸から、約二十メートル程離れた場所に転移した黒子と嚆矢を、忌々しげに見遣りながら。
「っ……なんですの、今の……一体あの人の能力は……!」
「『質量操作』……触れている物の、質量を増減させる能力だ」
「『質量』……ではやはり、あれは……!」
辛うじて『攻撃』を避けた彼女が、魔本を携えた少年を望む。鬱屈と赤濁した眼で、こちらを見る古都を。
答えた嚆矢も、視線は古都から離さない。最早、一瞬の油断が死に繋がると分かっているから。
「ああ────物質が、自分の持つ万有引力で自壊する現象……所謂、『事象の地平線』を、実証した訳だな」
「なんて厄介な能力ですの……!」
言っている側から、古都の手元に魔本が悍ましく脈動する。それが、何か。かつて手にした事がある嚆矢には、分かった。
「Tibi Magnum Innominandum,signa stellarum nigrarum et bufaniformis Sadoquae sigillum────!」
唱えられた言葉と同時に、辺りに漂い始めた腐臭。そして……耳に忍び込むような微かな嘲笑。
「何……ですの、この、笑い声……?」
「チ────『星の吸血鬼』か!」
こうなれば、魔術の隠匿などに拘ってはいられない。運良く、すぐ脇には高架の骨組みである鉄骨が露出している。何とか誤魔化せるだろうと、嚆矢は『右手』でそれに触れて。
「飢える、飢える、飢える────!」
昼間の、搾り滓のような魔力を注ぎ、玉虫色に揺らめくダマスカスブレード『賢人バルザイの偃月刀』を召喚する。
「剣────今、どこから?」
呆けた声を上げた黒子に、反応を返せない。そんな状態ではない、今、彼は瀕死に近い。
──反動は、かなり酷い。トラックと正面衝突したような、気の遠くなる頭痛。つまり、死ねるくらい。鼻奥に感じる鉄の臭いを無理矢理吸い込む。そうすれば、次は舌に感じる鉄の味。それを無理矢理、飲み込んで。やっと準備完了だ。
ッたく、喚んだだけでこれか……こりゃあ、『ヨグ=ソトースの時空輪廻』なんざヤったら死ぬな……。
それだけの反動を推してでも、この祭具を呼び出した理由は単純明快だ。
目に見えない『星の吸血鬼』を捉える方法は、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ