割れる、弾ける、逃げる
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「何か見つけたの?」
床海さんが僕の顔を覗き込む。
その瞬間を待っていた。
僕はポケットから愛用の8000Jbを取り出すと挨拶代わりに鈍器として彼女に振るう。
ウヮンッ!
これは僕が見ていた幻覚だった。光景が一瞬にして荒野に変わる。
辺り一面を土の茶色が占めている。だけど僅かに見える緑色は鬱陶しい位太く大きく逞しく、太陽をおかわりしそうだった。
僕は知っている。これは床海さんの発明品、『隙間のホコリがよく取られるアンモナイト』の所為だ。
「床海さん!」
僕は叫んだ。この世は五知だ。アンモナイトも知っている。
「な・あ・に?」
床海さんが後ろから降ってきた。綺麗にスタッと着地する。
「ドリアは美味しいですね」
「うん、2cm位ひと声かけてみて?」
僕は言われた通りにした。
「うん。ドリーア」
まるでゴリラの発音のように床海さんが歌うと、世界が一変した。
まったく。床海さんのことはよく分からない。30歳のように微笑み、15才のようにすねる。そして髪は60さ
「ひょえええええええ。オゥフッ」
中年の男性の裏声がする。ここは1587年の江戸。僕だって信じたくない。けど、日本史が得意な床海さんがそうだと言い張るなら僕は学校の勉強に逆らう。
「貴様らさっきから色々うねうねとやっておったがあはなんぞいな。オゥフッ」
「抹茶は苦手です。麦茶麦茶ー」
床海さんは抹茶の入った空じゃない器を振り回した。
これはチャンス!僕はこっそり盗んだ『ピザシルク土足で入る』を散布。抹茶は空中のある1点に集結。
しかし、瞬間、抹茶を水風船が包むと、抹茶は抹茶であり続けた。
「っ……」
見たことない。聞いたことない。氷山の一角だった。信頼なんてないからね。
僕は少しずつ冷静になっていく。
「きぃみぃたぁちぃ、なぁにしてるんだぁ?オゥフッ」
頑張って出した高い声。遠くに響くようにしたのかな?僕らは近くだけど。
「遮二無二の刑をーをう、処する!オゥフッ」
結果。過程は忘れた。
そして、沢山の屈強な男性が僕らに銃や剣や思い思いの品を向ける。
パシャッ!
水風船が落下し、破裂する。中の抹茶が飛散し、畳を溶かす。
「ふげぃえあっ!?オゥフッ」
屈強な男性達は怨霊に出会ったかのように散り散りに逃げる。
「今だよ!」
床海さんが床海比でボールみたいな物を叩きつけた。
ボールは水風船のように炸裂。そして、
「……という幻だったのよ」
床海さんが微笑みかける。僕は足の痺れに構わず頷いた。
「じゃあね。また」
床海さんが後ろを見た瞬間、僕は近くにあった『ユーカリ合唱団の血液』入りの容器を持ち上げる。
持ち上げた瞬間に色が黒から緑になる。
僕はポケットか
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