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蜀碧
第三章
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「これは何だ?」
「ただ殺したいのか殺すのか」
「戦でも罪でもないのに殺されるのか」
「あの男に」
 その張にと言い合うのだった。
「これは恐ろしいことだぞ」
「今度殺されるのは我々だ」
「うむ、すぐにそうなるぞ」
「我々が殺されない筈がない」
「成都の者が殺し尽くされればな」
「次は我等だ」
「殺されるぞ」
 民達も殺された、そして役人達もだ。
 彼等が務めに来ると多くの犬達を出した、そして。
 犬はその辺りを適当にたむろしたが役人の方に近付いた、張はその役人を引き出してそうして殺していった。
 その役人達の生首を自分の前に置いてだ、彼は酒を飲みつつ周りの者達に言った。
「天殺だ」
「犬が匂いを嗅いだからですか」
「殺したのですか」
「犬が匂いを嗅がねば殺されなかった」
 こう言うのだった。
「この者達が匂いを嗅がれたのは天命、そしてだ」
「それにより殺されるのも」
「天命だからですか」
「だから天殺だ」
 そうなるというのだ。
「この者達が死んだのは運命なのだ」
「そ、そうですか」
「そういうことですか」
 誰もがこのことに恐れた、そしてまた囁き合うのだった。
「では我々もだな」
「犬に匂いを嗅がれればな」
「それだけで殺されるな」
「そうなるな」
 このことを囁き合うのだった、そして。
 彼は男だけでなく女も殺した、そもそも民も殺すのだから男も女ももっと言えば老いも幼いも関係なかった。そして女を殺すと。
 纏足された足を切らせてだ、それを積み上げていった。切られた足の山が出来上がった。だがその頂上にだ。
 気に入った足がなかった、張はそれが気に入らなかった。それで苦々しい顔で飲んでいるとだ。その彼の横にいた妾がだ。
「足がお好きですか」
 こう問うたのだ、張に。
「今は」
「集めているがな」
「では私の足は如何でしょうか」
 笑って戯れでだ、妾は自分の足を見せた。その足もまた纏足だった。
 張はその纏足を見てだ、即座にだった。
 短刀を抜きそれを妾の喉に突き刺した、そして突然のことに驚きもがく妾にだ。
 刃を何度も突き刺して苦しむ悶える顔を見ながら返り血に塗れつつ殺した。そのうえでその足を切り取り。
 山の頂上に放り投げてだ、得意気に笑って言った。
「これでよい」
「よい足が見付かった」
「だからですか」
「満足だ」
 このことについてはだ、そしてだった。
 友人達と宴会をする、こうした男でも友がいたのだ。この時の張は楽しげに彼等と語らい飲んだ。だがその後で。
 友人達が帰るとだ、彼はまた周りに命じた。
「殺せ」
「ご友人をですか」
「殺せと」
「そうだ、あの者達はわしの大切な友人だ」
 それでというのだ。
「だから殺せ、気に入った者
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