-おまけ-「他人に頼らず自分でやれ」
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「ほら、はやくしろよ」
「いや、その……」
「なに遠慮してんだよ」
「だから兄者……」
「そんなに嫌か?俺の……」
「そうじゃなくて。これしか……作れなかったのか」
闇夜の訪問者――高杉が万事屋を去ってから、双葉は再び眠りについていた。
その後銀時に起こされた彼女が目にしたのは、お茶碗に盛られたおかゆ。
兄が寝ている間に作ってくれたのだが、双葉は微妙な表情でそのおかゆを盛ったスプーンを口元に差し出す銀時を見る。
「贅沢言ってんじゃねぇよ。お前だってウチの家計苦しいの知ってんだろ。俺の懐も冷蔵庫も空っぽだよ。あるもんで我慢しろ」
我儘を言うつもりはないが、今『おかゆ』を見るとどうしてもあの時を思い出してしまう。
高杉の毒入り『おカユ』と兄が作ったフツウの『おかゆ』。
冷蔵庫が空っぽなら料理がかぶってしまって当然だが、何とも言えないこの心境。
こんなことをイチイチ気にする自分に嫌気が差しつつも、差し出されたおかゆを中々食べれないでいた。
「だいたいよ〜、モグ、テメェが勝手にピザ注文すっから、モグモグ、金が一気になくなったんだろーが、モグモグ」
「兄者、さり気なくおかゆを食べるな」
双葉に指摘され、銀時はスプーンを口にくわえたまま手を止める。
「いらねぇんじゃなかったの」
「誰がいらないと言った」
「あっそ。……ほらよ」
そうして先ほどと同じようにおかゆをスプーンに盛り、双葉の口元に差し出す。
双葉はそのスプーンをしばし眺め――
「スプーン換えてこい」
「なんだオイ!お父さんが使ったお風呂に入りたくないお年頃の娘か、テメェわ!?」
「いや、お父さんと自分のパンツを一緒に洗濯したくないお年頃の娘だ」
銀時のツッコミに大真面目な表情で双葉は返答してきた。
この表情からするとどうやら本気らしい。
「どんだけデリケートだっ!テメェは俺とお父さんを病原菌かなんかだと思ってんの?」
「どうでもいいからスプーン」
「どうでもいいってなんだ。なんかしつこくツッコんでたこっちが恥ずかしくなってきた」
ブツブツと文句をもらしながら、銀時は無意識におかゆをかき回す。
わざわざ取り替えるのもめんどくさいので、銀時はスプーンをビシッと双葉の前に突き出した。
「スプーンこのまんまでいいだろ。つーか、そんなにこのおかゆ食べたくないの?お前おかゆ嫌いだったっけ。好き嫌いはやめなさい!」
「いや、別にそういうわけでは……」
釈然としない妹の態度に、銀時は頭をかいて渋々話を続ける。
「じゃ他に喰いたいモンでもあんの?言っとくけどピザ駄目だから。今ホントお金ないから。絶対無理だからね」
「ピザ食べたい」
「おい、さっき俺が言ったこと聞いてた?」
直後に首を縦に振る妹。良く
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