第3話「夜の山道は危険」
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「あれ?おかしいな」
久々に来た大がかりな依頼。
万事屋一行は期待して現地へ向かったのだが、待ち合わせ場所には誰もいない。
「新八ィ。ホントにここで合ってるアルか?」
「うん。ここでいいはずなんだけど」
確かに郵便で届いた地図と比較すれば、位置的には間違っていない。
ただ違っているのは、話に聞いた場所は町中ではなく、人気など全くない山道ということだった。
「おまえ地図も読めない駄メガネだったアルか。ツッコミ以外ちっとも使えないネ。ただの役立たずヨ」
「なんだよ!そんなに叩かなくてもいいだろ!!」
「その地図よこせヨ。私が見れば絶対着けるアル」
新八から無理矢理奪い取り、定春にまたがる神楽は地図を見て「こっちアル」と前に進んだ。
そのまま左右に曲がることなく真っ直ぐ歩く三人と一匹。
だがいつの間にか道から外れ、どんどん奥へ入ってしまっていた。
「全然着かないよ。なんか山道っていうか獣道に入ってない?神楽ちゃん、ちゃんと地図読んでる?」
「馬鹿にするなヨ。この矢印指す方に歩いて行けば必ず着くアル」
「それ方角の記号だよ!駄目だ。もう僕ら完全に道迷った。どうしますか、銀さん」
新八の悲鳴に近い声が轟いたが、銀時は答えない。彼はいつになく真剣な表情で周囲を見渡していた。
「銀さん、どうかしたんですか?」
「いや、別に……」
「お待ちしてました。勝手にどこかへ行くものですから、こっちが探してしまいましたよ」
突然男の声がしたかと思うと、三人の前に人影が現れた。暗くて姿はよくわからないが、どうやらこの男が依頼主らしい。ようやく依頼主に会え、新八は安堵のため息をもらした。
「良かった。実は道に迷ってたんですよ。お待たせしてしまって、すみません」
「いえいえ、こちらこそ分かりづらい地図で申し訳ない」
「こちらです」と男の声に新八と神楽はつられて足を動かす。
だが銀時は手をかざして二人を足止めした。
「銀さん?」「銀ちゃん?」
「『勝手に』ってどうゆう事かねぇ。あんたら、俺たちを最初から見てたんじゃねぇか」
問いかけの返答は、不気味な笑い声だった。
その態度から周囲が異様な雰囲気に包まれていることに、新八と神楽も勘づいた。
「アンタ、腑抜けた眼してるって言われないかい?」
「いや、よく死んだ魚のような眼って言われる」
「フン。そのくせに頭はキレるみてェだな」
温和な口調はドスのかかった声へ豹変する。そして雲から顔を出した月の光が、化けの皮を剥がした。
男の正体は武装を施した、見るからに人相の悪い天人であった。
「ま、そこのガキのおかげで奥に誘いこむ手間が省けたけどなァ」
そう笑って天人が手を振り上げると、大勢の武装天人たちが現れる。銀時たちは得体の知れない敵に取り
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