第2話「男は母親に似ている女を嫁にする」
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そしてゆっくりと双葉を見据えて、高杉は言った。
「双葉。俺と銀時、どっちが好きだ?」
唐突な質問。少し戸惑ったが、見据え続ける高杉の瞳から双葉は逸らさずに答えた。
「高杉、私はおまえが好きだ。そして同時に恐ろしい。だけど失いたくない。おまえも兄者も。だって……」
双葉は少し間を置いて
「おまえと兄者は似ている」
と口元に微かな笑みが浮かんだ。
これから言う事はきっと傲慢な答えだろう。双葉は心の中で自分を軽蔑した。
「だから惹かれたのかもしれないな。けど兄者と違う、おまえにしかないモノにも惹かれた。おまえといる時しか感じない気持ち。高杉、おまえと共に過ごした時間は……」
すると高杉は立ち上がって、双葉を縛っていた布を刀で斬り自由の身にした。
その意外な行動に戸惑いを隠せない。
「なぜ……」
「選べ。俺か、銀時か」
また唐突な質問。いや、『選択』というべきか。似たような選択を過去に一度している。
それが今と同じじゃない事を皮肉に思う。
立ち上がり、双葉はかつて同じ道を歩んでいた男へ答えを返す。
「私は兄者がどうしてここにいるか分からなかった。全てを奪った天人となぜ一緒に暮らせるのか。……わからないが兄者は護っている。でも護っているのは、万事屋にいる者だけじゃない。私はもっと知りたい。兄者が護りたいモノをもっと……」
天人が来航して全て変わった。全て消えた。
……そう思っていたけど、変わらないモノもあった。
『俺は今も昔も護りたいモンは何一つ変わっちゃいねぇよ』
「私たちは奪われ失った。けど、だからってこれから生きる者たちの未来を奪っていいわけじゃない。そんなことをしたら、天人と同じだ」
振り返り、双葉は高杉の瞳を真っすぐ見つめた。
「だから高杉、私はおまえの元へは戻らない。『破壊』しか求めないおまえの元へは……」
「だが『獣』はどうする。さっきのテメェは血を求めてたぜ。隠しきれないその欲求をどうする気だ?」
「いずれ私の『獣』は暴走するだろう。だが例えそうなっても、私は自分のチカラで止めてみせる。おまえの『獣』も私が必ず――」
止める。
だがその言葉は声にならなかった。
何の前触れもなく、突然全身が硬直する。
視界がぐらりと揺れ、双葉は崩れ落ちた。
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=つづく=
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