第1話「パーティにピザは欠かせない」
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「ンンンン!むむ…む……」
双葉の両手は解放されて抵抗できるはずだった。
すぐそばに落ちている刀で反撃できたはずだ。
だが身体は徐々に快楽に包まれ、抗う心は薄れてゆく。
――だめだ……力が…抜けて…いく……。
双葉の手は小さな音を立てて、床に崩れた。
* * *
あれからどのくらいたっただろうか。
部屋は薄暗く、昼か夜かもわからない。
ただ、激しい雨音はまだ続いていた。
「……?」
身体に違和感。身動きを取ろうとしたが、両手は何かで後ろに固定されている。
下を見ると両足は布できつく縛られていた。この分だと両手も――
「やっと起きたか」
声がしたかと思えば、壁に背中を預けた高杉がこちらを眺めていた。
夢と思ったあの出来事はすべて夢ではなかったと双葉は知った。
それを喜ぶべきか悲しむべきか、今はどちらも選べなかった。
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「なんだ、コレは!?」
「こうすりゃ逃げらんねーだろ」
「おまえ……」
鋭い目つきで突き刺すように睨む。
しかし高杉は気にせず、身動きできない双葉に歩み寄った。
「メシだ。喰え」
「いらん」
白く滲んだおカユが盛られた茶碗を差し出されたが、双葉は目をそらして受け取らない。
「遠慮してんのか」
「食べたくない」
「だったら食べさせてやるよ」
そう言って彼はおカユを口にふくみ、俯く双葉を掴み上げ唇を重ねた。
そして、おカユは双葉の口の中へ一方的に注ぎこまれてゆく。
「む!むむ!」
“ゴクン”
「むはァ…はぁ…ハァ…」
「おいおい。汁が垂れてるぜ」
高杉は笑みを浮かべて双葉の口から垂れる汁を舐めた。
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「ひゃっ」
「ククク。やっと女らしくなったな」
つい小さな悲鳴を上げてしまって、悔しさから唇を噛む。それだけで我慢もできず、仕返しとばかりに鋭い視線を向ける。
だが高杉はその姿を楽しんでる様だった。
「しかしロクな食材がねーな。カユしか作れなかったぜ」
「…………」
「ご立腹かァ。昔っから機嫌悪くなるとだんまりだな。ピザでも頼むか?」
「……なぜココに来た?」
「言ったろ。おまえに会いたくなっただけだ」
「そんな理由で……」
「それだけじゃ不満か?ならこの唇を味わいにきたって言えばいいか?俺の舌を満足させるのは、お前さんだけだからな」
まだ濡れている唇を、指で軽くなぞられる。
「噛むぞ」
「喰いちぎって俺の血を吸う気か?それでお前の『獣』が動くってのもおもしれェ」
そう笑いながら高杉は、鞘から刀を抜いて自分の腕に当てる。
そのまま大きく刀を振り上げ――
「やめろっ!」
“グサッ”
=つづく=
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