暁 〜小説投稿サイト〜
真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
群雄割拠の章
第2話 「だから対価を……払わなければならないの」
[10/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
りいいことだとも思えない。
 もし、仲違いをしているのなら……だが。

「……しばらく時間を置いたほうがいいのかもな」

 ――この時、私はそう思った。
 けど、桃香が『あんな状態』であったことを知っていれば……きっと、こうは決断しなかった。
 でも、星の書状にはそこまで書いていなかった。

 だから私は――

「盾二を……しばらくうちで匿うか」

 そう、決断する。
 そのことが良かったのか悪かったのか……私はかなり後で悩むことになる。

 けど、この時は本当にそれでよかったと思っていた。

 なぜなら……他の二通の書状、陶謙と袁術の書状が、後の私を窮地に陥れるものだったのだから――




  ―― 曹操 side 陳留 ――




 ――目の前が、一瞬真っ白になった。

「――ま! ――琳様! お気を確かに!」

 私は、一瞬我を忘れていたらしい。
 すぐに桂花の声で我を取り戻し、目の前で頭を垂れる春蘭と秋蘭の二人を見た。
 その二人――特に春蘭は、全身を震わせたまま跪いている。

「しゅ、春蘭……も、もう一度言ってちょうだい。今……今、なんて言ったの?」
「………………は。我が叔父にして……華琳様の父君である……曹嵩(そうすう)様が……亡くなられました」
「――――っ」

 思わず、体が後ろに傾く。
 そのまま王座に座り込んだ私は、また気が遠くなるのを感じ……歯を食いしばって耐えた。

「……何故。何故父様が……?」

 私の言葉に、秋蘭が顔を上げる。

「曹嵩様は……連合での戦乱を避けるため、徐州東北部の瑯邪郡にご家族と共に避難なさっておいででした」
「……ええ、そうよ。麗羽が許昌に軍を集めることもあり、?州では危険もあったから……」
「はい。ですが、連合での戦闘も終わり、劉虞の討伐も終了。?州もやっと落ち着きを取り戻したことで、今回私と姉者が……曹嵩様をお迎えに行く手はずでした」
「そうよ! そのあなた達が……あなた達がいながら! 何故!?」

 思わず声を荒らげてしまう。
 だが、その自らの声で、自分の荒れ狂う心に気がついた。

 ええい、曹孟徳!
 落ち着きなさい……例え父が亡くなったとて、私は覇王を目指す者。
 こんなことで……こんなことで、心乱されてどうする!

 自らを叱咤しながら、目の前にいる春蘭を睨む。
 けど、春蘭は頭を垂れたまま身を震わせ、秋蘭は悔しげに眉を寄せた。

「わ、我々が……我々が到着した時、すでに曹嵩様のご自宅はひどく荒らされており……ご遺体はかなり破損しておりました……」
「……っ」
「唯一逃げ延びた使用人は、片腕を失い半死半生でしたが話を聞くことが出来ました。そしてどうやら、その仇は―
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ