群雄割拠の章
第2話 「だから対価を……払わなければならないの」
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りいいことだとも思えない。
もし、仲違いをしているのなら……だが。
「……しばらく時間を置いたほうがいいのかもな」
――この時、私はそう思った。
けど、桃香が『あんな状態』であったことを知っていれば……きっと、こうは決断しなかった。
でも、星の書状にはそこまで書いていなかった。
だから私は――
「盾二を……しばらくうちで匿うか」
そう、決断する。
そのことが良かったのか悪かったのか……私はかなり後で悩むことになる。
けど、この時は本当にそれでよかったと思っていた。
なぜなら……他の二通の書状、陶謙と袁術の書状が、後の私を窮地に陥れるものだったのだから――
―― 曹操 side 陳留 ――
――目の前が、一瞬真っ白になった。
「――ま! ――琳様! お気を確かに!」
私は、一瞬我を忘れていたらしい。
すぐに桂花の声で我を取り戻し、目の前で頭を垂れる春蘭と秋蘭の二人を見た。
その二人――特に春蘭は、全身を震わせたまま跪いている。
「しゅ、春蘭……も、もう一度言ってちょうだい。今……今、なんて言ったの?」
「………………は。我が叔父にして……華琳様の父君である……曹嵩様が……亡くなられました」
「――――っ」
思わず、体が後ろに傾く。
そのまま王座に座り込んだ私は、また気が遠くなるのを感じ……歯を食いしばって耐えた。
「……何故。何故父様が……?」
私の言葉に、秋蘭が顔を上げる。
「曹嵩様は……連合での戦乱を避けるため、徐州東北部の瑯邪郡にご家族と共に避難なさっておいででした」
「……ええ、そうよ。麗羽が許昌に軍を集めることもあり、?州では危険もあったから……」
「はい。ですが、連合での戦闘も終わり、劉虞の討伐も終了。?州もやっと落ち着きを取り戻したことで、今回私と姉者が……曹嵩様をお迎えに行く手はずでした」
「そうよ! そのあなた達が……あなた達がいながら! 何故!?」
思わず声を荒らげてしまう。
だが、その自らの声で、自分の荒れ狂う心に気がついた。
ええい、曹孟徳!
落ち着きなさい……例え父が亡くなったとて、私は覇王を目指す者。
こんなことで……こんなことで、心乱されてどうする!
自らを叱咤しながら、目の前にいる春蘭を睨む。
けど、春蘭は頭を垂れたまま身を震わせ、秋蘭は悔しげに眉を寄せた。
「わ、我々が……我々が到着した時、すでに曹嵩様のご自宅はひどく荒らされており……ご遺体はかなり破損しておりました……」
「……っ」
「唯一逃げ延びた使用人は、片腕を失い半死半生でしたが話を聞くことが出来ました。そしてどうやら、その仇は―
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